パーソルキャリアに聞くインターンシップ成功の秘訣
「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンを掲げ、すべての“はたらく”が、笑顔につながる社会を目指しているパーソルグループ。
その中核会社であり、『人々に「はたらく」を自分のものにする力を』というミッションを掲げているパーソルキャリアは、新卒採用にも注力しており、直近ではターゲット別に優秀人材へアプローチする手法としてインターンシップにも注力しています。
採用において攻めの姿勢を崩さない同社は、このコロナ禍においても、インターンシッププログラムを新たに1つ追加し、全4種にした上で、全てオンライン化。そして、前年よりも2ヶ月早くオープンし、他社に先駆けて22卒の採用をスタートさせています。
そんなパーソルキャリアの新卒採用チームに、インターンシップ成功の秘訣について聞いてみました。
[今回お話を伺った3名]
目次[非表示]
- 1.ターゲット別の4コースのインターンシップ
- 1.1.新規事業立案インターンシップ『BRIDGE』
- 1.2.実践型事業推進インターンシップ『REALiZE』
- 1.3.次世代ビジネスリーダー創出インターンシップ『XROSS』
- 1.4.エンジニア・デザイナーなどスキル人材の採用を目的としたインターンシップ『SPRINT』
- 2.パーソルキャリアがインターンシップに注力する背景とは
- 2.1.サマーインターンシップを実施する目的・メリット
- 2.2.ターゲット別インターンシップ実施の背景
- 2.3.前年よりさらに早期化した背景
- 3.インターンシップ参加後の学生へのフォロー
- 4.新型コロナウイルスの影響とインターンシップのオンライン化について
- 5.全社で新卒採用に取り組むカルチャーが強さの秘訣
- 6.インターンシップにかける想い
ターゲット別の4コースのインターンシップ
- まずはインターンシップの内容について教えてください
採用ターゲットの違いごとにインターンシップを実施していて、今年は新たに1種追加し合計4種類のプログラムを用意しています。
新規事業立案インターンシップ『BRIDGE』
「世の中の課題を自分自身の力で解決したい」といったように、自ら価値を生み出したいという想いを持った方を対象にしたインターンシップです。新規事業の立案、サービスの企画を3日間で行うプログラムになっています。
実践型事業推進インターンシップ『REALiZE』
今年から新たに始めたインターンシップで、企画・マーケティング職といった職種を希望している学生をターゲットにしています。
既存のサービスに対して自分で課題を定義し、そこに対してロジックを組み立てていくことで課題解決力を発揮していただきます。『BRIDGE』が「課題提起」がテーマであることに対し、こちらは「課題解決」をテーマに置いています。
次世代ビジネスリーダー創出インターンシップ『XROSS』
パーソルキャリアの未来をリーダーとして牽引していける人をターゲットにしたインターンシップです。「リーダーシップの発揮」「組織(チーム)開発」をテーマに事業戦略を練っていくプログラムです。
エンジニア・デザイナーなどスキル人材の採用を目的としたインターンシップ『SPRINT』
Webサービスの企画開発における全ての工程を5日間で体験できるインターンシップです。
「Design Sprint(デザインスプリント)」というフレームワークを活用し、実際に企画、プロトタイプ開発、ユーザテストまでを行い、当社の「サービス開発エンジニア」の仕事を体感するプログラムとなっています。
昨年までのインターンシップの開催風景。写真からも活気が伝わり、活発な議論が交わされている様子が想像できる。
パーソルキャリアがインターンシップに注力する背景とは
サマーインターンシップを実施する目的・メリット
- 3年生の夏の時期にインターンシップを実施する目的を教えてください
大きく2つあります。今年度の採用に向けた活動をすることと、次年度に向けたブランディングです。特に、夏インターンで優秀な学生に満足度の高いコンテンツを提供することができれば、後輩に薦めてもらうことができ、翌年の集客につながります。この効果は大きいと感じています。
また、私たちがメインターゲットとしている層は、3年生の夏以前の早期にアクティブに就職活動をする傾向があります。そのため、この時期にインターンシップをすることでターゲット学生に効果的にアプローチをしたいという狙いもあります。
- 3年生の夏に母集団形成を終えている必要があるということですね。ここまで早く動くようになった背景があれば教えていただけますか。例えば過去の失敗など。
メインターゲットは、1年生のときから長期インターンシップに参加したり、3年生の4月頃から就業型のインターンシップに参加したりするような主体的な学生です。そのような学生は、就職活動の開始や意思決定の時期も相対的に早いです。また、競合他社の動き出しも早く、企業によっては通年で採用活動を実施しているような状況です。
当社の場合、HRというビジネスが学生にとって身近ではないため、理解し興味を持ってもらうまでに時間がかかるという傾向もあります。そのため早期から接点を持ち、継続的に情報提供を行うことで、面白さややりがいを知っていただき、納得した選択をしていただけるように心がけています。
ターゲット別インターンシップ実施の背景
- ターゲット別インターンシップの実施を決めた背景や元々あった課題を教えてください
昨年までの新卒採用組織は活動時期によってチームを分け、インターンシップチームと選考チームといった形で運営をしていました。しかし、この体制だとインターンシップチームは、「インターンシップを成功させること」が目的になってしまいがちでした。その結果、インターンシップを実施したはいいが、参加後の学生に対して適切なフォローができていないといった課題がありました。
そこで、インターンシップの企画・運営から入社承諾まで、同じ担当者が一気通貫でフォローできるようインターンシップの入口からチームを分ける形で体制を変更しました。
現在では、入社して活躍してもらうことをゴールに、チームごとに採用ターゲットのペルソナからインターンシップの企画、コンテンツの設計、集客方法の落とし込みをしていくようになりました。
結果として私たちのターゲット学生に、より魅力的に映るインターンシップを生み出せるようになったと思います。
前年よりさらに早期化した背景
- 今年のインターンシップは昨年よりもさらに早期化したと聞きました。
今年のインターンシップは昨年より2カ月早めて3月からエントリーを開始し、6月からインターンシップを実施する計画にしており、その通りに遂行しました。
理由としては、新卒採用市場全体の動きが昨年より早期化するという予測を立てていたことに加え、最近では2年生の時点から内定を持っている学生が増えてきていて、早期から優秀な学生に対して認知を高める必要性を感じているという背景もあります。
インターンシップ参加後の学生へのフォロー
早期アプローチの弊害と学生フォロー対策
- そこまで早期化すると4年生になって他社に意識が向く学生もいるのでは?
それも加味した計画にしています。3年生の年内に就職先を決めてしまいたいという学生と、大手が選考を開始する4年生まで就職活動を続ける学生がそれぞれ一定割合います。
基本的には前者の学生をメインターゲットとしていますが、実際は半々ぐらいになりますので、承諾後辞退も一定数発生することを加味した計画にしつつも、学生に対してフォローをしっかり行っています。
- 具体的にはどのような対策を取っていますか?
前述した通り、新卒採用組織をターゲット別のチームに分けていますので、インターンシップに参加した学生は常に同じ人事がフォローし続けるようにして現状を把握できるようにしています。
また、インターンシップ参加後も事業責任者や現場社員と継続的に接点を持ってもらうことで、会社や事業に加えて社員の魅力も伝えながらフォローをしています。
- インターンシップ実施後に参加学生と接点を増やすコツはありますか?夏インターンをやったはいいが、接点がうまく持てずにいつの間にか離脱されるケースが一番不安ではないでしょうか。
3年生の夏の時期だと、学生は「とにかく就職活動や働くこと・企業について情報収集をしたい」と考えていたり、「就職活動を通してもっと成長したい」といった考えを持っていたりすることが多いです。
前者の情報収集をしたい学生に対しては、社員と様々な形で関わりを持ってもらうことで、当社についてはもちろん、キャリアの考え方や個人の成長についても情報収集し、考えることができる機会を提供しています。
加えて、人材業界・職種の面白さを体系的にインプットできるようなセミナーを開催しています。
後者の成長したい学生に対しては、インターンシップなど、より実践的な機会を提供し、成長を支援する形で接点を持つことが多いです。参加の前後で人事や社員から個別にフィードバックをお伝えしたり、自らの気づきを学びとして体系化したりできるようサポートしています。
新型コロナウイルスの影響とインターンシップのオンライン化について
新型コロナウイルスの影響
- 新型コロナウイルスによるインターンシップへの影響はありましたか?
2つあります。インターンシップが全てオンラインになったことと、エントリー数が爆発的に増えたことです。22卒の活動を開始できていない企業様が多い中、早期からインターンシップの説明会を開催しているだけで多くの学生が集まりました。
インターンシップのオンライン化で困った点・工夫した点
- インターンシップの実施をオンラインに変えたことで困った点はありますか?
インターンシップの選考時の説明会や面接には特に影響はありませんでしたが、実際に実施していく中で影響が出てくると考えています。
インターンシップを実施する上で大事な要素の一つに「意向醸成」というものがあります。その意向醸成に繋がる要素としては2つあると考えています。
1つ目は学生自身が学びや気づきを得ることができたかどうか。そして、2つ目は、学生同士および当社社員との関係構築です。
学びの部分は、コンテンツ次第でオンラインでも遜色なく提供できますが、関係構築がネックになります。
昨年までは、インターンシップに参加する社員の人柄や、ちょっとしたスキマ時間の雑談、インターンシップ後に開催する懇親会などでコミュニケーションをとることで関係構築をしてきた部分があります。
しかし、オンラインだとそういったことができません。インターンシップのプロセスそのものや、プロセスの中での人との関わりで学生に価値を提供していきたいのですが、そこがうまく伝わるか課題に感じています。
昨年までの開催風景。チームで困難を乗り越える経験をできるのがパーソルキャリアのインターンシップのウリの1つ。
- オンラインで生じる課題をどのように解決する予定ですか?
前述の通り、コミュニケーション、関係構築に課題があったため、その対策を重点的に実施しています。
オンライン実施する場合は、オフラインで開催していた時以上に、社員から学生へのフィードバックの頻度を上げたり、サーベイを強化したりしていこうと考えています。
サーベイについては、人事からの評価だけでなく、学生同士でも評価しあってもらい、より客観的に振り返りができるようにしています。
エンジニア向けのコースでは、エンジニアの社員にメンターとしてついてもらい、期間中だけでなく参加前にも1to1で話せる時間を設けています。インターンシップ開催中も、人事とメンター社員で学生と個別に話す機会を設け、学生にフードバックしたり、学生がそのとき感じていることをヒアリングしたりできるようにしています。
全社で新卒採用に取り組むカルチャーが強さの秘訣
役員や事業責任者を巻き込んだインターンシップ運営
- 人事以外の社員のインターンシップへの関わり方について教えてください
インターンシップ開催中は、学生が人事だけでなく現場社員や役員とも多くの接点をもてるよう工夫しています。また、学生との面談には事業責任者クラス、部長クラスの社員にも協力してもらっています。多い人だと週5ペースで協力してもらうこともあります。
- 社員の方を巻き込むコツがあれば教えてください
これに関しては人事から働きかけて巻き込んでいったわけではありません。
パーソルキャリアには採用を重視する文化が根付いており、社員が自ら積極的に協力してくれています。なかなか社員の協力を得られないという会社と比べれば、恵まれた環境だと思いますし、人事としては大変ありがたいです。
また、これも当社の特徴かもしれませんが、役員にインターンシップから採用に積極的に関わってもらうことで、役員と人事のコミュニケーションが多く発生します。これによって、経営と人事が近い距離感で採用に向きあう関係性ができているのではないかなと感じています。
インターンシップ参加者の入社後の活躍について
- インターンシップに参加した方が、入社後想定通りに活躍しているかを教えてください
まだ分からないというのが正直なところです。
新卒採用やインターンシップをターゲット別で実施するようになったのがここ2年なので、成果が分かるのはもう少し先になると思います。
- 今後、ターゲット別採用について入社後の活躍までウォッチしたいというような構想はありますか?
はい。そもそもどういう状態を「活躍している」とするのか、「活躍」の定義から議論していますし、入社後の活躍は定点で観測するようにしています。
しかし、実際は異動が発生したり、組織が変わったり、担当業界によってパフォーマンスが変化したり、変数が多いため、入社後のパフォーマンスを精緻に測るのは難しいと感じていますが、今後は、当社の評価基準であるバリューを体現しているかどうかについても評価指標において見ていきたいと思います。
インターンシップにかける想い
- 最後にインターンシップをやる上での大変なポイントと、やりがいを感じるポイントがあれば教えてください。
武藤さん)
初動が一番大変ですね。前年度の採用がまだ終わっておらず、振り返りができていない中で次年度のことをやらなくてはいけない。
どうしても優先度が下がりがちになりますが、その中で優先度を上げリソースを割いて実行していかなくてはいけない部分が一番大変です。
やりがいを感じるポイントは、やはり採用できた瞬間ですが、最近ではSNSで参加学生の感想が拾えるので、そこで「パーソルキャリアのインターンシップに参加して良かった」という声を見ると、頑張ってインターンシップをやって良かったと思います。
横舘さん)
インターンシップは、準備やその後のフォローなどで大きな工数がかかります。その分、エンゲージメントの高い方を採用できるという点でやりがいを感じています。
私はエンジニア職の担当ですが、技術面で優れた会社がたくさんある中で、他業界や他社と比較検討をした上で、最後に当社のミッションへの共感を理由に、入社を決めてくれる学生がいます。
エンゲージメントが高い分、入社後に活躍してくれそうという期待感が大きいですし、そうした学生と出会えるインターンシップにやりがいを感じています。
楢崎さん)
学生自身がインターンシップの数日間を通して、その人なりに成長をしていく様子を見られるのがいいですね。
コースによっては、途中でグループが崩壊したり、思っていたようにならずもがき苦しんだり…。そういった困難を、仲間や社員のサポートを得て、何より学生自身が変わることで乗り越える経験を通して、学生の成長を身近に実感できることが楽しい。
仮に採用につながらなかったとしても、彼らにとってキャリアを考えたり成長機会を提供できていたりすることを思うと、当社のミッションの遂行に向けた取り組みだというやりがいを感じます。
- 本日は貴重なお話ありがとうございました!
XROSS参加者で撮影した集合写真。チームで困難を乗り越える経験を通し、絆が深まる。