就職活動やインターンシップで履歴書を書く際、つい後回しにしてしまいがちなのが「趣味・特技」の欄。「普段の趣味を書いていいのかな?」「特技とまでは言えない…」と悩んだ末に、「読書」や「映画鑑賞」「音楽鑑賞」など、なんとなく当り障りのない事柄を書いている方もいるのではないでしょうか。
「趣味・特技」欄は、合否を分けるほど重要ではないようにも見えますが、実は採用担当者がみなさんの人となりを判断する重要な項目のひとつ。しっかりと書くことで評価につながる武器にもなりえます。
この記事では、履歴書の「趣味・特技」欄が選考にどのような影響があるかを説明し、エピソードを加えて書くなどの正しい書き方を例文付きで紹介します。趣味や特技でも自分をアピールできるように準備をしましょう!
目次
履歴書の趣味・特技欄の役割とメリット
採用担当者は、応募者の履歴書の「趣味・特技」欄を見て、人柄や社風に合う人材かどうかを見極める判断材料にしています。手を抜かずにしっかりと記入するメリットを7つ紹介します。
①面接官に印象を残せる
就職活動では数万人という学生があなたのライバルになります。企業視点で考えると、採用担当者が名前や顔写真だけで、学生の特徴を思い出すのは難しいことが理解できます。しかし、趣味・特技の欄に気になることが書いてあれば面接官に強い印象を残せます。
たとえば、「クイズが趣味で大会に優勝した」「野菜が好きで野菜ソムリエの資格を持っている」など印象的な趣味や特技があったり、経歴や見た目とのギャップがある趣味や特技も、自分のことを思い出してもらうきっかけになるでしょう。
②面接時の緊張緩和になる
趣味・特技の欄は、面接で学生の緊張を解きほぐすための話題にもなります。そのため、企業側から積極的に趣味・特技について聞かれることもあるでしょう。
面接で緊張している学生側としても、好きなことを話すうちに、緊張が和らぐという効果があります。そのため興味がないことや得意ではないことを書くことは避け、内容を深堀りされた際、答えられるようにしましょう。嘘を書いてしまうと自分の性格と合わない環境にゆくゆく配属される可能性も否めません。
③自己PRを補強できる
趣味・特技の書き方によって、自己PR欄の補強も可能です。
英語力をアピールしたい場合、自己PR欄では、留学経験や国際ボランティアなどの経験を、資格で「TOEIC●●●点」を記載したとします。そのような場合、「趣味・特技」欄では、「字幕なしで海外ドラマ・映画を観る」と記載しておくと、自身の英語力と同時に努力を積み重ねるというアピールになります。
④企業研究をアピールできる
趣味・特技欄で企業の取り組みと関連するものを記入すると、企業研究のアピールにもなります。たとえば、最近では企業として部活動を支援するところも多くあります。自分の趣味・特技と一致する部活動があったら、その話題で盛り上がることもあるでしょう。面接中の会話が弾み、採用担当者にも「よく調べてくれている」と好印象を与えられるはずです。
⑤わかりやすく説明する能力を伝えられる
限られた時間の中で趣味・特技について話すためには、的確な要約力やプレゼン力が必要です。面接官は趣味・特技への質問を通じて、わかりやすく論理的に話す能力も試しています。
⑥就活生の人柄を知る
何に興味を示すかということは、人としてどんなキャラクターを持っているかを伝えることになります。学生の根本的な価値観の理解につながり、社風や求める人物像と合うのかという判断にもつながるでしょう。
⑦企業や職務への適性を知る
これまでの趣味・特技への取り組み方の姿勢やプロセスを伝えることで、職務に対してどのように取り組めるかをイメージしてもらえます。面接官は趣味や特技を質問することで、その人のキャラクターを知り、入社後に社員とうまくやっていけるかどうかを判断しているのです。
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履歴書の趣味・特技で押さえるべきポイント
次に趣味・特技を書く際の4つのポイントを解説します。
ポイント1.企業や業界、職種によって書き分ける
趣味・特技が志望企業の仕事内容につながるように書くことが大切です。
たとえば、外資系やグローバル展開をしている企業では、「語学力」をアピールできる趣味・特技を書くと選考で優位にはたらきます。同じく、IT企業はプログラミングに関連する趣味・特技は、即戦力としての強いアピールになります。
志望している業界ごとに、より強く印象づけられる趣味・特技とエピソードを記載し、その企業独自の特徴や社風につなげられるようにしましょう。しかし、嘘や過度の誇張はNGです。
ポイント2.人柄がわかること
あなたの人柄や長所が伝わる趣味・特技を書くこともポイントのひとつです。
チームワークが求められる集団スポーツが好きな人は協調性が高い、コツコツとひとりで続ける趣味をもっている人は根気強く物事に取り組めるなど、人柄や性格は趣味や特技に色濃く反映されます。自分のアピールポイントとリンクした内容を書けるよう意識することが重要です。
ポイント3.自分で深く語ることができること
趣味や特技である以上、面接官からの質問にもすぐに答えられなくてはいけません。印象をよくするために本来の趣味・特技ではないことを書いてしまうと、深い質問に答えられなくなります。「その話題なら任せてください!」と胸を張って答えられるような趣味・特技を記載するようにしましょう。
ポイント4.NGとされる趣味・特技を避ける
実際に趣味や特技としていることであっても、就職活動では避けるべきものがあります。
たとえば競馬や競輪、パチンコ、宝くじといったギャンブル系には、「私生活がだらしない」「抑制ができない」「ラクして稼ぎたい」といったマイナスイメージを与えてしまいますので避けた方がよいでしょう。また、政治や宗教色が強いものに関しても、個人の価値観によってあまりよい印象を与えないこともあるので、一般的には記入を避けるべきです。同様に犯罪を連想されるものもNGです。
また「ゲーム」や「アニメ」、「漫画」には、まだまだネガティブなイメージを持つ方が一定層存在します。たとえば、下記のように記入されていたら、採用担当者はどう感じるでしょうか?
趣味・特技のNG例
幼少期よりゲームが大好きで、面白いタイトルがあると時間を忘れて熱中してしまいます。
ゲームが好きなのは悪い事ではありませんが、「平日も深夜までゲームをして翌日寝不足で出社」というネガティブなイメージが想起される可能性もあるので避けたほうが無難です。
趣味・特技の見つけ方
趣味・特技がどうしても見つからない人は、見つける方法がいくつかあるので実践してみることをおすすめします。ここからは、趣味・特技の見つけ方を5つ紹介していきます。
過去の経験から探す
過去の経験を振り返ることで、自分に特技が備わっていることを発見できる可能性があります。振り返る記憶は最近のものでなくても構いません。中学校や小学校までさかのぼって、自分が注目を集めたり、活躍したりした経験がないか思い出してみましょう。よく覚えている印象的な出来事の中で、自分がどのような役割を担っていたのか、細かい部分まで深掘りするのがポイントです。
過去の経験から特技を探す方法は、自己PRのエピソードを選ぶ工程に似ています。そのため、自己PRのエピソードの中から特技としてアピールできる部分がないか探してみるのも良いでしょう。
日々のルーティンから探す
毎日繰り返していることは自分にとっては当たり前のように感じますが、他人の目には特別なことだと映る場合も多いものです。毎日しているわけではなくても、定期的に長期間継続していることがあれば、特技としてアピールできる可能性があります。週に2回ランニングしている、毎月ボランティアに参加しているなど、継続的に行っていることの中から趣味・特技を見つけられるかもしれません。
好きなことから探す
「好きこそものの上手なれ」といいますが、好きなことは没頭しやすく、自然と集中して行うので上達が早いものです。また、好きなことには情熱を注ぐことができるため、人に説明するときも魅力的にアピールしやすいでしょう。好きでやっていることが趣味・特技としてアピールできるかどうか、検討してみることをおすすめします。
周りの人に聞く
自分ではわからなくても、他人から見れば特技だといえるような能力が備わっているかもしれません。そのため、家族や友達に聞いて確かめてみるのも良いでしょう。周りの人に質問するときは、自分の長所はどんなところかと聞いてみて、そこから特技へと膨らませる方法がおすすめです。また、過去に自身が努力していた箇所はどこだと思うかを聞いてみるのも良い方法です。
趣味・特技の一覧から探す
自分の経験や好きなことから趣味・特技を見つけようとしても、なかなか見つからないこともあるでしょう。そうしたときは、一般的な趣味・特技の一覧から自分に当てはまるものがないか探してみるという方法が使えます。一覧については次項でご紹介します。
また、一覧ではなくても、友人やタレントの趣味・特技を参考にするというのも1つの方法です。探し方にこだわる前に、まずは1つでも趣味・特技を見つけることが重要です。
趣味・特技例の一覧
趣味・特技が見つからない人は、趣味・特技の一覧を参考にすると役に立つでしょう。ここでは、それぞれの一般的な例を紹介していきます。
趣味例の一覧
一般的な趣味の例
「フットサル」「写真」「登山」「ツーリング」「読書」「ランニング」「旅行」「料理」「カラオケ」「スポーツ観戦」
個性的な趣味の例
「映像製作」「史跡巡り」「釣り」「ギター」「アクアリウム」
特技例の一覧
一般的な特技の例
「歌がうまい」「足が速い」「スポーツが得意」「集中力がある」「速読できる」「人を楽しませられる」「運転がうまい」「柔道黒帯」「プログラミングできる」「バイリンガル」「楽器が弾ける」
性格的な特技の例
「ストレスをあまり感じない」「誰とでも仲良くなれる」「プレゼント選びが得意」「小さいことにこだわらない」「なんでもポジティブに捉える」
このように伝え方次第でどんなことでも趣味や特技としてアピールできます。
【例文付き】履歴書の趣味・特技欄の正しい書き方
実際の履歴書にはどのように書くのがよいのでしょうか。ここでは具体的な例文とともに紹介します。基本的には、趣味・特技を一言で終わらせるのではなく、エピソードを加えることでより具体的になります。
<基本的な趣味・特技の記入例>
趣味:バスケットボール(友人と毎週のようにプレーをしています)
特技:コミュニケーション能力(初対面の人とでもすぐに仲良くなれます)
このように趣味と特技は、ひと目で内容が理解できるように箇条書きで改行して記入すると読みやすくなります。カッコ書きで具体的なエピソードを入れるとより好印象を与えることができます。文章で書くのも問題ありませんが、多くの事柄を書くと伝わりにくくなり、煩雑な印象となります。また長すぎるのも読みにくくなるため禁物です。自己PRや経験欄と混同せず、箇条書きでも文章で書く場合も、簡潔にまとめることを意識しましょう。
趣味・特技の例文をケース別に紹介
次に趣味・特技の例文をケース別に紹介します。記入する際は、数字を活用した具体的な表現でわかりやすく内容をまとめることがおすすめです。
【体を動かすことのケース】
<例文>
趣味:体を動かすこと(特に登山が好きで、今年は8箇所の登頂を達成しました)
特技:体力と集中力(登山で鍛えた体力と地道な作業を繰り返すことに自信があります)
<解説>
登山は、登頂するまでは大変ですが登頂したときの達成感は代えがたいものです。また特技で趣味を補完しているので、達成意識を持って、仕事を最後までやり抜く人柄も伝わるはずでしょう。
【写真撮影のケース】
<例文>
趣味:写真撮影(ファインダー越しではいつもの風景にも新しい発見があります)
特技:褒めること(人の長所を褒めるのが得意で、いつも場を和ませています)
<解説>
ただ撮影をするだけではなく、「新しい発見がある」と記入しているため、物事を多角的な視点で判断できる印象を与えられます。また特技でもポジティブで明るい人柄を伝えることができています。
【旅行のケース】
<例文>
趣味:温泉巡り・国内旅行(月1回は国内の温泉に行き、リフレッシュしています)
特技:サッカー(小学校から大学まで続けており、全国大会にも出場しました)
<解説>
パーソナリティがわかるだけではなく、「リフレッシュができている」と書くことで、オンオフをしっかりコントロールできる人だと理解できます。また特技で異なる分野を記入することで、2つの長所や個性を伝えることができます。
映画鑑賞や読書が趣味の場合も一工夫を
一般的過ぎてなかなか個性を出しにくい趣味に「映画鑑賞」や「読書」があります。しかし、少し工夫するだけで印象を強くすることができます。
【映画鑑賞のケース】
<例文>
趣味:映画鑑賞(年間100本以上の映画を観ており、その感想をブログでまとめています)
特技:発信力(映画の感想ブログをきっかけにSNSのフォロワーが●●人増えました)
<解説>
映画鑑賞も、ただ観て終わりとするのではなく、表現のひとつとしてブログといった具体的なかたちに落とし込める能力は立派なアピールになります。とくにウェブ業界やマスコミ業界では発信者としての視点は歓迎されるでしょう。
趣味・特技が思いつかない理由と対処法
やはり自分の趣味や特技を書こうとしても、思いつかないこともあるかもしれません。自分に当てはまるパターンを知っておくことが、前に進めない現状を打破するカギとなるかもしれません。ここでは、趣味・特技が思いつかないときにありがちな理由と対処法を紹介していきます。
自分には趣味・特技がないと思い込んでいる
「自分には趣味や特技がない」と思い込んでいる就活生は少なくありません。その主な理由は、「特技=すごいこと」と考え、ハードルを上げすぎていることにあるといえます。特技とはいっても、誰もが驚くようなインパクトのあるエピソードを用意する必要はありません。自分の趣味・特技を探すときはハードルを上げすぎず、等身大のものを見つけることが大切です。
趣味・特技の伝え方を知らない
些細なことであっても、伝え方次第で趣味・特技として立派に通用します。しかし、その伝え方を知らないと趣味・特技としてアピールすることができないので、「何も思いつかない」と感じてしまうのです。
大切なのは、自分の趣味・特技に誇りを持ち、自信をもってアピールするということです。些細なことでも具体的なエピソードを交えながら情熱を持って説明すれば、説得力のあるアピールができるでしょう。なお、堂々と説明するためにも、趣味・特技は実際に自分ができることの中から見つける必要があります。
面接官の受け取り方を気にしすぎている
志望する企業の特色との関係性を意識しすぎるあまり、特技があっても素直にアピールできない場合があります。確かに、自分の能力と企業の相性は就活において重要なポイントですが、趣味・特技が空欄だと消極的な人だと判断される恐れがあります。自分の経験の中から、自分の人柄をアピールできる趣味・特技を見つけると良いでしょう。
一歩進んで「趣味・特技」といえるレベルまで楽しむ
自炊をしている人はレシピ本を買って本格的な料理に挑戦する、自動車運転免許を持っている人は目的地を決めてロングドライブをしてみるなど、ささいなことでも少しこだわりをもって取り組めば、それが趣味に転じることもあるでしょう。
趣味・特技の欄を空欄にしてしまうと、「消極的」「好奇心がない」といったイメージにつながる可能性があります。「特になし」と書くことは避けるようにしましょう。
趣味・特技は自分を表す強力な武器になる!
履歴書のなかには「趣味・特技」の欄が設けられていないタイプもありますが、履歴書購入の際は「趣味・特技」の欄があるものを選びましょう。そうすることで、自分の強みを補強できる効果が期待できます。そのチャンスを無駄にしてしまうのではなく、自己PRの材料として生かせるようにしましょう。また、エントリーシートで「趣味・特技」の記載に悩んだらこちらも参考にしてみてください。
【例文付き】就活で「趣味・特技」に悩んだら?面接官の目に留まるESを書くコツ
趣味・特技をいきいきと話す学生は、面接官にとっても輝いて見えます。自分の趣味・特技でアピールできるように準備をしましょう!
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