古今東西問わず、今後の人生について悩みを抱えるのは若者の特権です。インターネットやSNSが普及した現在は、多くの情報を取得することができます。
ときには、好む好まざるに関わらず、情報を自動的に目にしてしまうこともあるでしょう。例えば、友人はすでにやりたいことが見つかり、行動に移しているのに、自分はなにもやりたいことが見つからない……なんてこともあるでしょう。
特に就活が始まるとどうしても周りの状況が気になってしまったり、自分のスタートが遅れていて焦ってしまったり……
そんな方には各分野の第一線で活躍している方々のスピーチ動画を配信しているTEDがおすすめです。TEDには、ビジネス、テクノロジー、エンターテイメントなど、バラエティ豊かなスピーチが盛りだくさんですが、今回は学生が抱きがちな将来への不安を少しでも和らげてくれる動画を厳選して紹介します。
|TEDとは?まずは基本的な情報から知ろう
TED(Technology Entertainment Design)は、世界中の著名人による講演会「TED Conference」(テド・カンファレンス)を開催・配信している非営利団体。
「TED Conference」は毎年カナダのバンクーバーで5日間に渡って開催されている講演会です。
講演者は各分野で活躍している人物が多く、元アメリカ合衆国大統領ビル・クリントン氏やノーベル生理学・医学賞受賞者のジェームズ・ワトソン氏などがスピーチをしたことがあります。
講演会に出席するためには、審査を受けた上で年会費8,500ドルを支払って、TEDの会員になる必要があります。さらに追加で6,000ドルにも及ぶ講演会チケットを購入して、ようやく出席ができるのです。つまり日本円にすると約150万円! なかなかお目にかかれない貴重な講演会なのです。
当初は会員しか見聞きすることができなかったTEDですが、2006年から講演会の動画を無料配信しており、2019年時点で3,000以上の動画が公開されています。
その中でもイギリスの思想家ケン・ロビンソン氏の「学校教育は創造性を殺してしまっている」というスピーチは2019年現在、TED内で最も視聴されている動画であり、その再生回数は5,400万以上を記録するなど、世界中から注目を集めています。
TEDのスピーチ動画はそこまで長くないものが多く、短いものであれば3,4分で終わるので、気軽に視聴することが可能です。英語の勉強のために用いられることも多いですが、英語に興味がなくとも、人生で役に立つスピーチ数多く公開されています。
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|おすすめTED動画7選
今回はTEDが数多く公開している動画の中から、まだやりたいことが見つからない学生に向けておすすめのスピーチを紹介します。
1.スコット・ディンズモア「好きになる仕事はどうしたら見つかるのか」
世界的権威のあるビジネス誌「フォーチュン」が選ぶ国際企業番付「フォーチュン500」にランクインする大企業に就職したものの、短期間でその地位を捨ててしまたスコット・ディンズモア氏。
新社会人時代、パソコンの前に座ると画面を打ち割りたくなるほどストレスを抱えていたディンズモア氏は『履歴書に箔を付けるために職に就くなんて セックスを老後のために取っておくようなものだ』という世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏の言葉に感銘を受け、仕事を辞めたのです。
誰もが羨む一流企業の社員という立場には目もくれず、自分のやりたいことを実現するために誰かが人と違うことをしても、背中を押して 人生を変えるように勇気づけられるような場所を提供するプロジェクト「Live Your Legend」を立ち上げました。
スコット・ディンズモア氏は、好きな仕事を見つける方法や、仕事に情熱を見出す3つの要素を紹介しています。
自分のやりたいことを見つけるために自分固有の強みを見つけること、自分が決断する枠組み・基準を見つけること、そして自分の経験を振り返ることを提案しています。
「自分は周りに流されていないだろうか」「このままなんとなく就職していいのだろうか」と、今の自分の状況に疑問を感じたり、不安を抱いてる人はぜひご覧ください。
2.エミリー・ワプニック「天職が見つからない人がいるのはどうしてでしょう?」
講演家、キャリア・コーチ、コミュニティ・リーダーという複数の肩書きを持ち、世界を股にかけ活躍するエミリー・ワプニック氏が「天職」について語っています。
「大人になったら何になりたい?」という質問を人生で一度はされたことがあるのではないでしょうか。
子供の頃は「プロ野球選手」「消防士」など簡単に答えられたものの、自分には何が向いているのかわからないし、興味があることがたくさんあってひとつに絞れなくなってしまった20代前後の学生にとってはとても難しい質問でしょう。
そんな質問に答えるために、ワプニック氏は「マルチ・ポテンシャライト」という考え方を提唱します。
ひとつのことを追求するスペシャリストでなく、多くのことに興味を持っても大丈夫なのです。実際にワプニック氏がそうであるように。
たとえば、あなたがエンジニアにもなりたいし営業もしてみたいと考えたときに、どちらか一方を選ぶのではなく、まずエンジニアになり、その経験を活かして営業に役立てる、ということも考えられます。
あれもこれもやりたいし、どれを選べばいいのかわからないという学生はぜひ参考にしてみてください。
3.レジーナ・ハートリー「最高の人材の履歴書が必ずしも理想的でない理由」
アメリカの大手貨物運送会社UPSの人事部長を務めるレジーナ・ハートリー氏の採用に関するスピーチ。
一流大学卒で成績優秀という完璧な履歴書を持つタイプを「銀のスプーン」型、二流大学卒で転職履歴多数のタイプを「闘士」型とし、逆境を乗り越えてきた場合の「闘士」型の人間は仕事でうまくいく、という理由を述べています。
若くして多くの挫折や困難を乗り越えてきた人間は「心的外傷後成長」という現象で成長するのです。「心的外傷後成長」とは「危機的な出来事や困難な経験との精神的なもがきや奮闘の結果生じるポジティブな心理的変容」のこと。
伝統的な考えでは、過去の苦痛や困難はトラウマとして後の人生に苦難をもたらすものとされていましたが、「新たな可能性」として現在研究が進んでいます。
自分はあまり優秀じゃないからやりたい仕事はできないかも……と二の足を踏んでいたあなたもこの動画をみれば勇気をもらえるかもしれません。
4.エリック・バーリッジ「テクノロジー企業に人文系が必要な理由」
システムインテグレーターのBluewolf社の共同設立者であり、CEOを務めるエリック・バーリッジ氏。
同社をIBMに売却されるまでに成長させた経営手腕と先見の明に優れた氏は、テクノロジー企業に必要な人材に関して、いくつかの提言をしています。
テクノロジー企業はエンジニアなどの技術職だけでなく、人文系の学問を学んできた人材を必要としていることをバーリッジ氏は説いています。バーリッジ氏はスピーチ内で以下のフレーズを残しています。
『どうやって作ればいいのかを科学が教えてくれる。一方、何をなぜつくるのかを教えてくれるのは人文。どちらも同じくらい重要で、難しい』
また科学・技術・工学・数学など、科学技術開発の競争力向上を目指すSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics) 教育なども大事ですが、それだけを成長させるのは危険だと、警鐘を鳴らします。
メーカーやITなど、理系の企業に興味を持っているけど、文系の学部に通っていて専門的な知識がないから就職は諦めようかな……というような迷いをもっている学生におすすめです。
5.ダン・アリエリー「仕事のやりがいとは何か?」
仕事の「やりがい」を考えても「給料がいい」とか「楽だから」しか思い浮かばない……労働に対してマイナスのイメージを抱いてしまっている学生は少なくないでしょう。
アメリカのデューク大学で教授として心理学と行動経済学の教鞭を執るダン・エアリー氏は現代の世界を「知識経済」とし、仕事のやりがいは効率性ではなく、仕事の「意義」や「モチベーション」が重要と説きます。
他人にとってはあまり魅力的に感じないものであっても、自分が関わったものはとても価値があるように感じることができるのです。
やりたいことが見つからない学生はいったん給料や待遇のことを忘れて、これまでの人生でモチベーションが上がったことを軸にやりたいことを探してみてはどうでしょうか。
6.イーロン・マスク「我々が築き、掘っている未来」
民間宇宙飛行をめざすスペースX社や電気自動車を開発しているテスラ社の設立者であるイーロン・マスク氏のTED動画です。
マスク氏はスタンフォード大学の大学院に進学するも2日間で退学。
その後、2017年の取扱高が4,510億ドルを超えるアメリカの決済サービス企業PayPalの前身であるX.com社を設立します。
その後、スペースX社やテスラ社など、複数の会社を起業したマスク氏の壮大なビジョンが動画内時間30分を過ぎてからの「未来」についての話題が語られています。
どうして宇宙を目指そうと思ったのか、電気自動車を作ろうと思ったのか、マスク氏なりの「やりたいこと」の理由を後半部分で知ることができるので、40分以上の長編ですが、その人間性と話術に引き込まれ、あっという間に視聴することができます。
7.ジェイソン・シェン「仕事を探しているなら、経歴ではなく力を示そう」
インキュベーター(起業に関する支援を行う事業者)であるジェイソン・シェン氏は「TED Residency program」という、画期的なアイデアを創出するために開催されるTED主催のプログラムに選ばれています。
広告、メーカー、商社など、業界に限らず、各企業の社員の中には大学時代に法学部だった人が数多くいるでしょう。他の学部でも同じように、自分の専攻や研究分野に関わる仕事に就いている社会人はそうそう多くありません。シェン氏も大学では生物学を専攻していましたが、まったく関係のない企業で働いた経験があります。
スピーチでは、企業の採用担当者に向けた多様性のある人材採用を中心に話していますが、採用される側にも、経歴だけではなく、「自分になにができるのか」をアピールするべきだと説いてます。
これからの時代はAIや機械工学の進歩によって私たちの働き方を変え、様々な仕事において単純作業を自動化するでしょう。
20年以上前はみんながパソコンを持って仕事している姿など想像できなかったように、これからの私たちは今まで考えたことのなかった仕事をすることが考えられるのです。
その変化に対応できる人材になるべく、この動画で指針を知りましょう。
|TEDを使ってやりたいこと探しをしてみてもいいかも
少しは将来についての視界がひらけてきたでしょうか。自分のやりたいことは簡単には見つからないでしょう。
そんなときはTED内の動画をたくさん観てみるとなにかひらめくかもしれません。今回紹介した動画以外にも、TED内では心に残るスピーチがたくさん配信されているので、興味のあるキーワードで調べてみると、知見が広まるでしょう。
もちろん1から動画を視聴してもいいですが、時間がないときは”Transcript”のタブから日本語の翻訳を読んでみるだけでも十分身になります。
スマートフォン・タブレット用のアプリもあるので、ぜひダウンロードしてみてください。
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