勝利を目指し、ひたすら厳しい練習に打ち込む体育会系の学生。そこから生じた「体育会系の学生は就活に有利」というイメージは、皆さんもどこかで耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、体育会系でもなかなか内定獲得まで苦戦している学生も多いことも事実です。実際に練習や試合に時間をとられ、なかなか就活のために時間が確保できない……という人もいることでしょう。
今回は体育会系の学生の強みと弱み、向いている職種や業種、就活を進めるうえでの注意点を解説します。
体育会系の学生が就職活動に有利な理由
まずは、「体育会系の学生は就活に有利」だと思われる理由を見てみましょう。
◆体力や精神力がある
体育会系の部活では、常に過酷な練習が行われています。日常的にそんな厳しい練習を行っている学生には、自然と体力が身につきます。また、過酷な練習の持続によって、自然と高い精神力が養われていきます。
これまでの経験の中で培った体力と精神力は、営業の仕事に活きてきます。たとえば、得意先への訪問、新規の営業先の獲得に向けた営業活動、資料の作成、得意先との会食と、営業は1日の業務内容が。さらには問題が発生した際のクレーム対応やノルマ達成へのプレッシャーなど、高い精神力が求められる場面も……。ときに踏ん張らねばならないこともある営業職ですが、受注金額に応じてインセンティブが出るところが多いため、給与面でやりがいを感じることもできるでしょう。
営業職はほとんどの企業で募集があるもの。それは、会社を存続させ、従業員に給料を支払っていくためには継続的な案件の受注が必要だからです。そのため売上を上げられる営業は、どんな企業でも重宝される職種。就活の際、受ける業界や企業の選択肢が増えるといった意味でもおすすめです。
◆結果に対し、ストイックに取り組むことができる
スポーツでは勝利こそが全てであるように、社会は、結果を出すことが求められます。体育会系の学生は、勝利に向けて最適なトレーニングや食事を検討し、行動することができます。そんなストイックに努力を積み重ねられる姿勢は、遊びや気楽な遊びに逃げがちな学生よりも好印象に受け取られます。成果につながるためのフローを考えられる点は、社会人として期待されることでしょう。
◆チームワークが期待できる
スポーツの種目には、チームプレーに重きを置くものも少なくありません。個人の能力が高いことはもちろん、周囲との協調性を重要視する採用担当もいます。体育会系であることは、入社後に周囲と連携をとって業務に取り組める力を有している証明にもなります。
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時に仇となる?体育会系の学生の弱点
一般的に「体育会系の学生は就活に有利」と言われてはいるものの、弱みがあることも事実です。そんな弱みについて注目してみましょう。
◆精神論が仇になる
先述した通り、体育会系の学生には高い精神力があります。しかし、度を過ぎれば「結果が出ないのは努力が足りないから」、「辛くても、頑張れば問題ない」といった精神論を持ち出すこととなってしまいます。
問題が発生したときは、その原因や背景をしっかりと見定めたうえで、具体的な解決策を導き出すことが大切です。
また、体育会系の組織は上下関係が厳しく、場合によっては「指導者や先輩の言葉は絶対」という暗黙の了解があります。そのため、自分に部下ができた際には精神論によって理不尽な命令を下すリスクも生じるでしょう。そのような接し方は部下との関係を悪化させ、結果としてチームを崩壊させてしまうかもしれません。相手の気持ちを考え、自分の言葉や態度が最適なのかを念頭に置いたうえでコミュニケーションをとることを意識する必要があります。
◆慢心する
「就職に有利」という噂を耳にした体育会系の学生の中には、それを信じるあまり慢心するケースも見られます。また、部活のOBや指導者といったつながりからOB訪問や特別なオファーをもらう可能性もあります。そこに甘んじたばかりに入社後に能力が発揮できず、「こんなはずじゃなかった……」なんて後悔を避けるためにも、「その仕事は本当に自分に向いているのか」を冷静に考え、希望する職種や業種の研究を徹底しましょう。
◆ルールに従えるが、作り出すことができない
体育会系の学生は、礼儀や先人が作り出したルールを重んじる傾向があります。その反面、「なぜこのルールがあるのか」といった考えに至らず、時代や状況が変わったとしても古い習慣に囚われ続けます。
そのため、企業で働く人々の意見を汲み取って新しいルールを定める総務、常に顧客のニーズを把握したうえで最適なサービスを提供するIT業界やクリエイティブ業界には不利となります。既存のルールが全てだとするのではなく、改善の余地を追求する、周囲の意見にも積極的に耳を傾けるようにしなければいけません。
体育会系の強みを生かす自己PRの作り方
「自己PRに役立てるエピソード」が多くある体育会系の学生。とはいえ、コツを知らずに自己PRを作ろうとすると、どうしても内容がライバルと似てしまいがちです。自己PRを作る際に押さえておきたい注意点とコツとともに、具体例を解説します。
◆役職の経験は内容に影響しない
自己PRを考えるとき、部長や副部長、マネージャーといった役職がないからと、体育会系での経験を書くことをとまどう人もいるかもしれません。しかし、企業の採用担当は経験そのものではなく、それによりどのような学びを得たのかに注目しています。
たとえ役職についていなかったとしても、「ムードメーカーとしてチーム内の士気を上げた」、「新入生の相談役として、チーム内の問題を解決した」といったエピソードがあれば、自己PRでの強い武器となります。
あなた自身が経験したエピソードをもとに、どのような学びを得られたのか説明できるよう振り返ってみましょう。
◆具体的な数字を入れる
部活をもとに自己PRを作ろうとすると、「結果を残すことができた」、「未経験者に指導をした」といった内容が志望者同士で乱立してしまう可能性があります。そのため、「◯×年ぶりに記録を更新した」、「新入生△人の指導を行い、□人がレギュラー入りを果たした」といったように、具体的な数字を入れたエピソードを述べましょう。うわべだけの話ではなく、あなたが実際に経験したものとして説得力が増します。
これらのポイントを踏まえ、実際に自己PRを作ってみましょう。
継続力を伝えたい場合
私は部活を通し、継続することの大切さを学びました。
中学生の頃から野球部に所属しており、今年で9年目になります。大学の野球部では優れた選手が多く、当初私はレギュラーに選ばれることはありませんでした。
そこで私は練習に30分早く参加する、撮影した投球フォームから自分の不足している要素を分析する、といったことを行い、2年目からレギュラーに選ばれました。その後も慢心せず、規則正しい生活や筋力トレーニングなど日々の生活でも最高のコンディションを保つための努力を続けています。
この経験を生かし、課題に直面した際には解決に向け粘り強く挑んでいきたいと考えています。
協調性を伝えたい場合
私の強みは、協調性です。
私は大学に入ってから、チアリーディング部に所属していました。チアリーディングはひとつのパフォーマンスをメンバー全員で作り上げるため、協調性の大切さを学びました。
当初はチーム30人の呼吸がひとつにならず、失敗することも珍しくありませんでした。しかし私はチーム内でどうするべきか話し合いを設けるほか、苦手な点を克服するための練習を呼びかけるなど、率先して解決に導けるよう努力しました。これによりチーム内の結束力が高まり、大会でも入賞という結果を残すことができました。この経験で培った協調性をもとに、貴社でも周囲と協力して業務に取り組みたいです。
噂に振り回されず、就活に挑もう。
これまで体育会系の学生は、体力や明るい雰囲気、ストイックさを理由に就職活動でも有利だとされてきました。しかしその噂を過信するあまり、業界研究や自己分析が徹底できていなかったことから就職活動が不利になってしまうケースも見られます。慢心せず、これまでの経験から自己PRを考えるとともに、業界をしっかり押さえておくことを心がけましょう。
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