就職活動における悩みのタネのひとつ、「マナー」。
「ノック2回はトイレと同じ回数だからダメ」
「おじぎの角度は〇度」
など、中には都市伝説の類のもので様々な説が流れており、調べれば調べるほど、本当なのか嘘なのか分からなくなってしまうことも。まさに「信じるか信じないかはあなた次第!」状態に陥っている人も少なくないのではないでしょうか。
今回は、そんな就活生に向けて「どんな話し方、書き方をすればいいのか」「どんな服装をすればいいのか」「どんな動作をすればいいのか」、といった3つの観点から就活マナーを紹介します。より詳細な情報が知りたい方は、dodaキャンパス編集部がこれまでに掲載した関連記事も参考にしてみてください。
基本を押さえよう!就活マナーは社会人になるための土台
なぜ、就活においてマナーを気にしなければならないのか。「いままでアルバイトや部活でやってきたし、別にいまさら…」なんて思う方もいるかもしれません。
しかし、「ビジネスマナーはちゃんと使いこなせますか?」と問われれば、「はい」と声を大にしていえる就活生は少ないのではないでしょうか。就職活動でのマナーは、社会人になっても使いこなさなければならないビジネスマナーの基本になります。はやく慣れておくことに損はなし。
この機会に就活マナーを身につけて、就職活動だけでなく、社会人になった後にも活かしましょう。
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言葉遣い
まずは電話やメールから始まり、面接でも大切になる「言葉遣い」の就活マナーから紹介します。言葉遣いひとつで、相手に与える印象は大きく変わります。
尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つがある敬語ですが、正しく使い分けられているでしょうか。
丁寧に話しているつもりでも、尊敬語と謙譲語が混ざっていたり二重敬語になっていたりと、間違っていることも多いのが敬語。
以下の記事に、実際に使える例文や間違いやすいポイントについて書いていますので、ぜひこちらも参照してみてください。
また、敬語だけでなく、“クッション言葉”を挟むようにすると、より丁寧な印象を与え、話も円滑に進むようになります。特に、なにかを伺う時やお断りするときには使用するようにしましょう。
【クッション言葉の例】
「恐れ入りますが、or 失礼ですが……(もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか)」
「差し付かえなければ……(お電話番号をお聞きしてもよろしいでしょうか)」
「申し訳ございませんが……(その日は授業がありまして……)」
・メール
OB/OG訪問や、説明会への参加、面接の日程調整など企業の担当者とやり取りをするときにはメールを使うことが多いでしょう。メールではどのような文面が好ましいのでしょうか。
気をつけておきたいポイントと例文を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
注意したいポイントは以下の部分。
一次面接の件につきまして ☆☆大学□□
〇〇株式会社 人事採用担当●●様
お世話になっております。
☆☆大学△△学部の□□と申します。
一次面接のお誘い、誠にありがとうございます。
いただきました候補のなかから、
下記日程でお伺いさせていただけますと幸いです。
◯月◯日(▲)■時〜□時
お忙しいなか、恐縮ではございますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆☆大学△△学部【所属】
□□【氏名】
〇〇◯-〇〇〇〇-〇〇〇〇【電話番号】
~~~~【メールアドレス】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●件名/要件を簡潔に書いた後に、「大学名・氏名」を添えておきましょう。
●宛先/ 会社名は必ず正確に記入すること。「株式会社」が、社名の前に付くのか、後に付くのかは、間違いやすい部分なので必ずチェックしましょう。(株)と略すのも避けたほうが無難です。
●名乗り/自分の名前をまず相手に伝えましょう。④メールを送った目的/「訪問をしたい」という目的と、その理由を簡潔に述べましょう。
●日程などの打ち合わせ/日時を指定された場合は、上記のような形でかまいません。指定されなかった場合は、一定の期間(1〜2週間程度)を指定して、相手の都合がつく日時を複数教えてもらうようにしましょう。
●結び/相手への敬意を表す言葉で締めくくること。
●署名/最後にもう一度、大学名と名前を記載します。その際、携帯電話の番号・Eメールアドレスの記入も忘れずに!
署名を一通ごとにわざわざ打つのが面倒な場合は、設定さえすればメッセージの末尾に自動で署名を挿入することができます。署名の設定方法は、それぞれのサービスで変わってきます。MicrosoftやGmailを使っているならば、以下のURLを参考にアカウント設定をしてみましょう。就活中は何通もメールを送らなければなりませんので、はやめに設定を済ませておくと便利です。
Microsoft Office『署名を作成してメッセージに追加する』
・電話
電話をする際に気をつけておきたいマナーは、以下の2点になります。
・電話を取る際には、まず自分の名前を名乗る
・自分からかける場合には、名前と簡単な要件を伝える
まだマナーに慣れていない場合、「もしもし」のみで出てしまいがち。相手からかかってきた場合は「はい、〇〇です」と、自分の名前を名乗るようにしましょう。企業の番号がわからないことが多いので、いつでも名乗れるように普段から実践しておくとよいでしょう。
こちらから電話をかける場合には、「□□大学の〇〇と申します。お世話になっております」「~~の件でお電話させていただきました。担当者の方(名前がわかる場合はその名前)はいらっしゃいますか」というフレーズを用いましょう。
その他、メールや電話で気をつけたいことは以下の記事にも詳しく書いてありますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
身だしなみ
つぎに、身だしなみについて紹介します。
身だしなみは第一印象を左右するもの。どんなに良い経験を持っていて、コミュニケーション能力が優れていたとしても、何千人というライバルと戦わなければならない就活では、外見でマイナスな印象を与えてしまうのは相当な痛手になると言えます。シワだらけのスーツを着ている就活生を見て「ロックだな、いいね!」と思う採用担当者はあまりいないでしょう。「面接でさえこんな身だしなみでくるのだから、商談のときにもこんな服装でくる雑な性格なのかも……」という評価をされてしまうかもしれません。身だしなみにも細心の注意を払わなければならないのです。
・スーツ
スーツは無地のものがおすすめ。黒や紺色のものが無難です。広告業界やファッション業界など、私服通勤の多い業界は、多少ストライプが入っていても構わないでしょう。また、シャツは白いものを使用すれば、清潔感のある印象を与えることができます。
ビジネスシューズも、ウイングチップというつま先に穴飾りのあるタイプではなく、黒色飾りなしのものが一般的。紐のデザインにも内羽根、外羽根の違いはありますが、こちらはあまり気にしなくても大丈夫。靴は汚れやすく傷つきやすく上に、目立ちやすいため大事な面接の前日にはしっかりと磨いておきましょう。
・私服・普段着
説明会や面接の要項に、「自由な服装でお越しください」「私服OK」と書かれている場合は「ビジネスカジュアル」がマナーとして最適。ビジネスカジュアルはフォーマルとカジュアルの中間のような服装です。
「ビジネスカジュアルって具体的にどんな服装なの?」と疑問に思った方はこちらの記事を参考にしてみてください。
立ちふるまい
最後に、企業への訪問時や、面接の入退室時などにおける立ちふるまいについて紹介します。
到着時間は、約束の10分前には目的地に到着しておきたいところ。それ以上前になると、相手も自分の業務やその他準備などを行っている場合が多いので、はやければはやいほどいい、というわけではありません。また、建物のロビーについた段階で、コートなど上着を着ている場合はあらかじめ脱いでおきましょう。
・表情
就活生が意外と意識できていない、表情。同じスキルや経験を持った就活生がふたりいたとして、不安そうな表情の就活生と、笑顔で元気ハツラツな就活生、どちらを採用したいと考えるでしょうか。せっかくいい内容の発言ができていても、表情ひとつで「この学生は自分に自信がないのかな」と評価をされてしまうのは避けたいところ。人と比べて表情の変化が少ないといわれる方は、オーバー気味にリアクションを変えてみるといいかもしれません。
・入室時
ドアをノックし、「失礼します」と言ってから、部屋に入ります。ノックする回数については、3回が妥当と言われていますが、あまり気にする必要はないでしょう。2回しかノックしていないからといって、「ノック2回はトイレと同じ回数だから失礼だ」と評価を下げる企業はないと考えられます。
入室する際には、前を向いたまま手を後ろにしてドアをしめないように注意。ドアの取手を持ったまま入室し、閉めるときは後ろを向いて、大きな音を立てないようゆっくり閉めます。ドアがない場合は、ノックは不要です。「失礼いたします」と言ってすぐに入室しましょう。
部屋に入った後は椅子の横まで歩き、立ち止まりましょう。面接官に「どうぞ」「お座りください」と言われてから、「失礼いたします」と言って座ります。企業によっては、この際に大学・学部・名前を言ってくださいと言われるケースもあります。その際は「〇〇大学△△学部から参りました、□□と申します。本日はよろしくお願いいたします」と伝えましょう。
・退室時
座ったままで「ありがとうございました」と一礼し、立ち上がります。立ち上がった後に再び「貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」と伝えてもいいでしょう。ドアの前で「失礼いたします」と伝え、おじぎをしてから退室。ドアを閉めるときはゆっくりと、大きな音を立てないように気をつけましょう。
・おじぎ
おじぎには、3種類のパターンがあります。
・会釈……15度ほどに傾けるおじぎ。人とすれちがうときなどにする、軽いもの。
・敬礼……30度ほどに傾けるおじぎ。上司・お得意様・目上の人などに対するもの。
・最敬礼……45度ほどに傾けるおじぎ。謝罪や、トップクラスのクライアントを送迎するときに
就職活動におけるおじぎは、「敬礼」までで十分。
上記で目安となる角度をお伝えしましたが、厳密な角度は気にしなくても大丈夫。「この学生はおじぎの角度が38度だから失礼だ」という面接官はそうそういません。しかし、会釈は、敬礼や最敬礼に比べて違いがわかりやすいので、少し深めのおじぎをするように心がけましょう。
背筋を伸ばして「よろしくおねがいします」「ありがとうございました」と言い終わってから頭を下げることがコツです。おじぎをしながら頭を下げると、言葉が聞こえにくくなるばかりではなく、場合によっては失礼にあたる可能性があります。おじぎに限らず、面接時には常に姿勢をよくしておきましょう。あまり姿勢が良くないと、採用担当者からの印象もマイナスになってしまうかもしれません。
不安なら、就活マナーを練習しておくのも手
「就活マナー、面倒だな……」と思うかもしれませんが、社会人になるとやらなければいけないことばかり。たとえば、コートを着たままお客様と会う社会人は見かけません。
メールについても同様に、社会人は上記でお伝えしたようなポイントを押さえ、必ず署名をつけて送信します。就活マナーはビジネスマナーにつながること。マナーは、相手といかに気持ちよくコミュニケーションを取り、仕事を進めていくかといった点で大切になるのです。
マナー、といっても人によって違う部分があり、一概に「これが正解」といえないものも少なくありません。少し人と違ったところで、採用の合否に大きく関係することはないでしょう。就活マナーを意識するあまり、小手先のテクニックを気にしすぎてしまい、本来の自分を出しきれない、というケースは避けたいところ。
“習うより慣れよ”という言葉がありますが、直前で覚えるよりも、日々の生活の中で取り入れておけば意識せずとも出てくるようになります。不安な方は、就職活動が本格的にはじまる前に、アルバイト等で心がけてみたり、大学のキャリアアドバイザーや、友人とともに練習をしておきましょう!
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