プロフィール
モデレーター
ANAホールディングス デジタル・デザイン・ラボ 「イノ旅」「 旅と学びの協議会」ディレクター
ANAエアポートサービス株式会社でグランドスタッフ、インストラクターを経て、ANA AVATAR PROJECTメンバーに。
2018年からANAホールディングス株式会社のデジタル・デザイン・ラボに所属し、経済産業省の次世代イノベーター育成プログラム「始動」に参加。
中高生向けの旅×学びの「イノ旅」、旅を次世代教育の一環として活用する「旅と学びの協議会」を担当。
登壇者
瀬戸内サニー株式会社代表取締役
兵庫県生まれ、香川大学出身。大学卒業後、東京のデジタルマーケティング支援会社に就職し、イベント、PR、ソーシャルメディアを活用したPR企画プランニング&ディレクション、マネージメントを手掛ける。
その後、「BuzzFeed Japan」にてSNSを軸とした顧客戦略の立案や企画に携わる。2017年末に東京生活を終え、2018年1月11日に香川県高松市にて独立、瀬戸内サニー(株)を設立。
瀬戸内・香川県に根ざしたYouTubeチャンネルおよびSNSメディアを自社プロダクトとして、マーケティングや採用などの課題やニーズに応じたプランニングから制作までを行っている。
登壇者
合同会社 DMM.com イノベーション本部 地方創生事業部
静岡県静岡市出身。岐阜県の国立大学卒業後、新卒で岐阜市役所に就職。
基盤部署だけでなく科学館の学芸員や民間企業への出向を経験するなど、公務員としては異色のキャリアを積む。
アーティストであるバックグラウンドと社会デザインの視点を融合し、前例に囚われないソリューションを生み出す「ソーシャルアーティスト」として活動。
地方公務員アワード2019受賞。2020年4月よりDMM.com地方創生事業部に参画し、全国各地の地方創生に取り組む。
引用・出典:オンラインイベントのスクリーンショット
※本記事は2021年8月2日にオンラインで開催された「意外と知らない!?地域・まちづくりに関わる企業の中の人にオンラインOB・OG訪問」のイベントレポートです。
「地方創生や地域活性に興味がある」「将来はUターン・Iターン就職したい」そんな学生さんも多いと思います。
とはいえ、具体的にどんな仕事をするのか、そのためにどんな準備をすべきなのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本イベントは、モデレーターとしてANAホールディングス デジタル・デザイン・ラボの大下さん、登壇者として瀬戸内サニー株式会社の大崎さん、合同会社 DMM.com イノベーション本部 地方創生事業部の川那さんをお招きし、企業で地方活性化や地域創生に取り組む理由や求められるスキルなどを語っていただきました。
本記事の最後には実際のイベント動画も掲載していますので、ぜひご覧ください。
目次
地域・まちづくりに関わる企業の中の人に、オンラインOB・OG訪問!
トークセッションでは企業としてまちづくりに関わる上で知っておきたい質問を用意。
それぞれの方法で地域・地方創生に取り組む大崎さんと川那さんに地域・地方に関わることになったきっかけや求められる能力などについて語っていただきました。
地域に関わったきっかけは?
(大下)まずはどんな学生時代を過ごしたのかお聞きしたいです。
(川那)高校まではサッカーやバスケなど勝敗のつくスポーツをしていたんですが、大学時代にストリートダンスにハマりました。
自己表現するスポーツに初めて出会い、自由を得た気がして楽しくて仕方がなかったです。ずっと鏡の前で踊り続けていましたね(笑)。
教師になるつもりだったのであまり外の世界には興味がありませんでした。今から考えるとちょっともったいなかったですね。
(大下)表現することが楽しいと思ったきっかけがストリートダンスで、今の仕事にも活きていますよね。
(大崎)僕も同じく教育学部出身です。香川の国立大学に進学したのですが、当時積極的に外に出て行く雰囲気はありませんでした。
井の中の蛙にはなりたくなかったので、大学2年生から意識して長期休暇があるごとに留学しましたね。ニュージーランドやアメリカ、タイなどにいきました。
やっぱり外に出てみると分かることがたくさんあって。カリフォルニアビーチの荒々しさを経験した後に瀬戸内海に戻ると、穏やかな海の魅力を身に染みて感じました。それが地域で仕事をしたいと思ったきっかけでした。
川那さんは当時どのような選択肢を持ってましたか?
(川那)中学校の頃から教師しか見ていなかったですね。他の業界・業種を見るとか他の社会人に触れることがなかったです。
(大下)川那さんは地元の良さや地域の魅力に気づいたきっかけありますか?
(川那)僕は静岡生まれで中学生まで静岡、高校3年間は名古屋、大学から岐阜だったんですよね。なので正直、「ふるさと」ってどこだ?くらいの気分です。
「地元はどこですか?」と言われると困っちゃうんですよね。ふるさと愛に溢れている人を見ると羨ましいです。
(大崎)僕も兵庫出身なものの、今は香川で活動していますし、香川は「第二のふるさと」だと感じています。今の時代、ふるさとは何個あってもいいと思いますね。
(大下)ふるさとが何個あってもいいという言葉、すごく刺さります……!
川那さんもはじめから地域(地方)に関心があったわけではないとのことですが、どんなきっかけで地域(地方)の仕事をするようになったのでしょうか。
(川那)僕は地方公務員になったことですね。プライベートを大事にしたかったので転勤もなく、定時で帰れて、安定した職がいいなという思いで選びました。
実際は楽ではありませんでした(笑)。でもいろんな人たちと出会い、いろんな価値観に触れられるのは有意義ですね。
公務員は会う人を選べません。ごく普通に過ごしている人もいれば、社会の間で困っている方などもいる。普段見えない負の部分も含めて社会構造を俯瞰して見られたことは大きな経験でしたね。
(大崎)それはめちゃくちゃ大きいですね。ITベンチャーだと若い人たちとしか接する機会がないので、うらやましいです。
(大下)大崎さんは、ご自分でベンチャーを立ち上げられていますもんね。
(大崎)そうですね。僕が課題感を抱いていたのは、ローカルだと接する世代の幅が狭いことです。地方の就職の選択肢は、公務員や銀行、地元の大手などに限られています。
東京のようなITベンチャーはほとんどありません。若い世代に対して、新しい選択肢をつくりたいと思い、起業しました。
地域で働く上で、求められる能力や考え方は?
(大下)お二人から見て、地域に関わる上で求められる能力やマインドはありますか?
(大崎)失敗してもいいよと思えるマインドが大事だと思います。地方でベンチャーを立ち上げた人で成功している人はほとんどいないんですよ。
僕自身も、今の会社が失敗したらうどん屋をしようと思っています。軽いマインドを持たないとやれない気がしますね。
就活をしていても「この企業に絶対に入る」だとしんどいと思います。「受からなかったらこの選択肢もあるよな」と自分の中で逃げ道をつくることが大切ですね。
(川那)僕は「越境する力」が求められていると感じています。ローカル(地方)は閉じた世界のイメージを持たれるかもしれません。
しかしローカル(地方)で必要とされる人材は、閉じた空間から越境できる、越境を楽しめる人材だと思いますね。僕自身も公務員というローカルから越境した結果、今に繋がっていると思います。
(大下)そう言われてみると、おふたりとも「越境」していますよね。自分で世界を切り開いていると感じます。
今はまさにオンラインでもいろんな地域の人に会えるので、自分の興味のあるものはまず見て考えて体験してみるのが大事だと思いました。
コロナ禍の今、自分が大学生だったらどう過ごす?
(大下)おふたりがもし今、大学生に戻ったとしたら何をやりたいですか?
(川那)動きにくい時代ではありますが、手段はたくさんあると思うんです。同時に、英会話やインターネットへの知識など、越境するためのコンテンツへ投資をすべきだと思います。
(大下)川那さんはクリエイターやアーティストとしても活動しています。それらの強みに気づくためにどんなことをしたのでしょうか?
自分の強みが分からないという悩みを抱えている学生さんも多いと思うので、ぜひお聞きしたいです。
(川那)自分でボーダーを設けず、なんでも「できる」と言うことです。英会話が必要な場面があれば喋れます、絵を描く機会があれば描けますと言ってきました。
興味があることであれば、貪欲にチャレンジしていますね。
(大崎)僕は、大学時代にいかに移動距離を増やせるかが思考や価値観の幅に繋がると考えています。
今はコロナ禍で海外に行きにくいと言われていますが、逆に2週間待機すれば行けるんですよ。この時代に海外を見たことがある人材は貴重です。
大学生だからこそできることだと思うので、ぜひチャレンジしてもらいたいですね。
あとは「まずやってみる」ことですね。よく「お前ナメてるのか」と言われるんですが、でもナメてみないと分からないこともたくさんありますから。
(大下)たしかにこのタイミングで海外に移住された方のYouTubeを見たりするのですが、かなり尖っていて面白いですよね。
(大崎)しかもそこでネットワークができるんですよ。尖った場所で尖ったタイミングにいっているからこそ、面白い人たちと出会えるんです。
ほかにも、川那さんのような創作活動が大事だと思っています。僕は瀬戸内国際芸術祭というアートフェスのボランティアをしていました。
海外のアーティストとともにアート作品作ったりして。その中で磨かれていく感性は、大人になってからだとなかなか磨けない気がしますね。
(川那)創作活動は今まで築いてきた当たり前を崩してくれます。いままでの社会への違和感に気づく一歩になりますね。
(大崎)そのためにも、あえてつるみたくない友人とつるまなくていいと思います。切磋琢磨できる友人を見つけるのが大事ですね。
(川那)自分の気持ちと向き合うのも大事ですよね。「つるみたくないな」という正直な気持ちと向き合った結果、気づいたことだと思うんです。
流されたままだとその違和感にすら気づいてあげられない気がします。自分の違和感に気づいて、最終的に自分で決める経験をちょっとずつでも積めるといいですね。
質疑応答
トークセッションの後は、参加学生からの質問にお答え頂きました。
Q.地域やまちづくりの仕事をする上で大学でどういうことを学ぶと役に立ちますか?
(川那)ビジネスのフレームワークの基礎は地域(地方)でも必要です。
ローカルだから一流のビジネスと違っていいわけではなくて、逆に地域(地方)のほうがシビアな課題がたくさんあります。難しい経済学でなくても、PDCAを回す経験を積んでほしいですね。
(大崎)大学で学ぶというより、大学生という身分を利用してみてほしいです。経営者に会いに行ったり、プロジェクトに大人を巻き込んだりしてみてはいかがでしょうか。
また川那さんのいう通り、ビジネスの知識も大事です。例えばフィリップ・コトラーのマーケティングの本はおすすめです。
Q.学生時代と社会人になってからを比べてみて地域と関わることや働くということに対するイメージってどういう風に変わりましたか?
(大崎)僕自身は学生時代も地域(地方)でプロジェクトをしていたので、あまりイメージは変わらないですね。
学生時代にお金で騙された時もあります(笑)。ローカルの泥臭さを知れたいい経験だったなと今では感じますね。
(川那)当時あまり深く考えたことがなかったですね。ただ、働くことへのイメージは変わりました。
言われたことをやるだけのイメージでしたが、実は「僕はこれが得意なんです」「これがやりたいです」とどんどん言っていいんだなと感じました。
Q.これから地方で出てくると思うビジネスであったり、取り組んでいきたいビジネスはありますか?
(川那)むしろビジネスしか出てこないと思っています。なぜかというと、ビジネスは課題から生まれるんですね。
課題の多さは都市よりも地方が圧倒的に多いんです。超高齢化社会の日本の地方は課題の宝庫なので、さまざまなビジネスの種があると思います。
Q.最後に、学生に向けて伝えたいメッセージをお願いします。
(大崎)いつの時代も前向きであることが大事だと思います。
今後、地方のビジネスは、日本の最先端、世界の最先端の事例になると思うので、新しい観点でどんどんチャレンジしてほしいですね。
(川那)一つの仕事や一つの特性で、社会に与えられたレールに沿って歩く時代はとっくに終わっていると感じています。
新しいキャリアを自分で作る時代において、誰かに言われるのに従うのではなく、自分で一つ一つ決めていくことが大事です。
そうすれば、失敗しても責任が取れます。皆さんも自分の決断を信じて、力強く突き進んでほしいですね。
まとめ
ローカルに活躍するお二人から実体験を交えてアドバイスを伺えた本イベント。
参加した学生からは、「地方にかかわるお仕事の話はなかなか聞く機会がないので、貴重な経験でした」「コロナ禍の学生だからこそ、チャレンジすべきだという言葉が響きました」などの意見をいただきました。
本記事を参考に、学生生活・就職活動に役立てていただければ幸いです。
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