通年採用とは?一括採用との違いやメリット・デメリットを解説
新卒採用担当の方の中には、思ったような人材を確保できない、必要な人数を確保できない、などの理由でお困りの方も多いのではないでしょうか。
新卒採用に有効な施策として注目されているのが通年採用です。通年採用を導入することで幅広い層の人材を獲得できる可能性があります。この記事では通年採用について解説しますので、ご参考にしてください。
通年採用とは
「通年採用」とは、企業が必要に応じて年間を通じて採用活動を行うことを指します。
「通年採用」の対義語として語られる採用手法に「一括採用」があります。企業が時期を定めず、年間を通じて行う「通年採用」とは異なり、「一括採用」は、限られた期間に多くの学生を一気に選考採用するのが特徴です。
一括採用と対比して「通年採用」が注目されている理由として、留学生や帰国子女の増加による採用時期や採用対象の多様化が挙げられるでしょう。特に、事業のグローバル化により海外大卒の受け入れが拡大し、秋採用を実施する企業が増加しています。
また、内定辞退者に対する措置としても活用される場合もあります。
通年採用のメリット
一括採用と比較し時間的制約の少ない通年採用は、じっくり選考を行えることから、さまざまなメリットがあります。
新卒一括採用では出会えない人材にも出会える
通年採用では、留学生や帰国子女など、新卒一括採用ではなかなかアプローチしにくかった層に対しても採用活動を展開することができます。
留学生は一般的な日本の大学生とは学期スケジュールが異なります。米国、ヨーロッパ諸国の卒業シーズンである6〜9月に帰国する学生が多く、一括採用が始まる3月のエントリーに間に合わないケースが多々見られました。
通年採用の実施により、留学生によるエントリーの随時受け付けが可能になり、さらに留学生のみならず、研究で多忙な理系院生や、夏まで引退できない体育会系の学生など、幅広い人材の採用が可能になりました。
自社にマッチした人材を見極める時間が増える
一括採用では募集期間が限られているため、短時間で多くの人材を選考する過程で、優秀な学生を見逃してしまう可能性があります。
対して、通年採用では選考時間に余裕があるため、自社に合った人物像を明確にし、それに合致する人材を見つけやすくなります。
また、採用に時間をかけることで、応募者とのコミュニケーションも深められ、内定受諾率アップも見込めるでしょう。
内定辞退が出ても対応できる
一括採用では内定辞退があった場合、次の採用活動まで待たなければならず、必要な部署に人員が行き渡らないデメリットがあります。
それに対して、通年採用では1年を通して募集を行っているため、内定辞退があった場合でもすぐに次の採用候補者の選考ができ、内定辞退のリスクの軽減につながります。学生も自分のスケジュールに合わせてエントリーできるため、「他社と選考がバッティングしたため、泣く泣く選考辞退」といった悲劇を防ぐことができるでしょう。
通年採用のデメリット
通年採用は企業と就活生とのミスマッチを防止し、内定辞退のリスクを低減できる採用手法です。しかし、一括採用と比較し、デメリットもいくつかあります。
採用・教育にかけるコストが高くなる
通年採用では年間を通して募集を行うため、採用広告の掲載期間や就職活動のイベント出展の機会が増え、それに伴い採用コストも大きくなってしまいます。
また、採用時期にばらつきがある場合には、新卒採用研修を複数回実施する必要があり、教育面でもコストが膨らみます。対策として、入社時研修のeラーニング導入によるコスト削減や、OJTと組み合わせた柔軟なスケジュール調整をするといいでしょう。
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採用担当者の負担が大きくなる
短期集中で業務に取り組める新卒一括採用と異なり、通年採用では1年中募集と選考を行うため、採用担当者が応募者との面接や選考プロセスを継続的に行う必要があります。そのため、採用担当者の工数がどうしても増えてしまうのが問題です。
特に、応募者数が多くなる場合は、Webテストの導入による一括足切りで選考プロセスを簡素化するなど、採用担当者の負担を減らす努力が必要です。
一括採用との調整が必要
通年採用ばかりを取り入れる場合、学生から「この企業はいつでも応募できる」と思われてしまい、一括採用の滑り止めとして扱われてしまうリスクがあります。
一括採用での不足分を補填する位置付けで通年採用を導入すると、バランスがとれて安定した人材確保につながるでしょう。
通年採用を成功させるポイント
通年採用のデメリットを回避し、メリットを享受するために多くの企業では入社時期を限定するなど、独自の選考手法を導入しています。
入社時期を一定にする
通年採用を行っている企業は、いつでも入社できる状態を作り出すことができますが、それだけでは採用や教育にかかるコストが際限なく増加してしまいます。
対策として「4月・9月・12月」など入社時期を限定し、コスト削減を図りましょう。例えば、年2回や年3回に入社時期を限定する、応募は通年可能だが入社時期は4月のみとするなど、柔軟ながらも明確な方針を設ける採用が可能です。
募集職種によって使い分ける
通年採用と一括採用のどちらか一方を選択するのではなく、職種によって採用手法を使い分けることも効果的な施策の1つです。
例えば、大量募集を行い、合同研修で新卒を育成する職種では、一括採用が適しています。一方で、人材不足が懸念される専門性の高い職種や、顧客対応など常に人手が必要な職種については、通年採用が有効でしょう。
企業は、自社の採用ニーズに合わせて通年採用と一括採用を使い分けることで、採用にかかるコストを抑えつつ適切な人材の獲得が可能です。
独自の選考システムを行う
従来の「ES、Webテスト、面接、内定」といった選考フローから脱却し、独自のシステムで選考を行うことも通年採用を成功させる手法の一つです。
例えば、ESを用いずに、インターンシップや課題解決型面接、グループディスカッション、ビジネスシミュレーションなど、さまざまな選考方法を導入することで、個人の能力や人柄を多面的に評価できます。
また、オンライン面接を導入し、海外留学中や海外在住の学生も参加しやすくすると、より多様な人材と出会うことができます。
独自の選考システムは、より多くの優秀な人材を採用するのに効果的な方法です。
学生の動向をリサーチする
通年採用は、一般的な採用スケジュールと異なり、採用活動を実施するタイミングを限定していません。そのため、学生の意欲や動向を把握し、適切なタイミングで求人できる採用計画を作成する必要があります。
「就職白書」などの求人サイトの調査や政府の動向、SNS上での就活生の声などで学生の動向をリサーチしましょう。
自社の採用ブランディングをする
通年採用は有名企業に応募が集中する特徴があります。
そのため、中小企業や、学生に名前が浸透しにくいニッチな産業の場合は、自社の知名度を上げる努力とともに、社風や待遇、業務内容、社屋など学生が好むと考えられるポイントをアピールすることが重要です。
自社の採用ブランディングを実施して、有名企業と勝負できる状態を作ることで認知度の低い企業でも十分な応募数を獲得できるでしょう。
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SNSなどWebなどを活用する
認知度アップのためには、通常の求人広告だけでなく、SNSのようなWebを活用する戦術も効果的です。
現在、多くの就活生はX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを活用しています。SNSと自社のWebサイトを連動させ、サイトへの流入を促す発信をしてエンゲージメントを高めていくことで企業に興味のある就活生が増やせるでしょう。
オンラインツールの活用
オンラインツールを利用することで、学生との接触回数が増加するメリットがあります。
通常のオフラインでの面接の場合、学生は企業へ訪問しますが、移動に時間がかかるためスケジュールの調整が困難です。一方、オンラインなら場所を問わず面接ができるため、接触回数を容易に増やせます。接触回数の増加により、企業に対する親近感の高まりが期待できるでしょう。
まとめ
通年採用は計画通りに新卒採用を実施できなかった企業や、グローバルな人材を獲得したいと考えている企業にオススメです。年間を通じて採用活動を実施するため、コストや労力が増大するのがデメリットですが、工夫次第でミスマッチを避けられたり、内定辞退が出た時にも柔軟に対応できたりする点で有用な採用手法と言えます。
一括採用で計画通りに人材確保ができなかったことに悩む採用担当者の方は、通年採用の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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