就職活動では、様々な機会を通して多くの企業と出会い、業界や企業のことを知っていきます。特にインターンシップで得られる経験・情報はとても重要で、22卒就活生も積極的にインターンシップに参加されていると思います。今年は新型コロナウイルスの影響でインターンシップのオンライン化・縮小・中止する企業も多く、苦労された方も多いのではないでしょうか。
最終的に、参加したインターンシップではどんなことが得られたり、わかったりましたか?企業の採用担当者はどんなことを意図してインターンシップを実施したのでしょうか?
企業を選ぶ軸にもつながる、インターンシップの裏側を読み解いていきましょう。
目次
学生に人気のあるインターンシップとは?22卒就活生によるランキング
今年も楽天みんなの就職活動日記(楽天みん就)にて22卒インターンシップ人気投票が実施されました。総合ランキング1位の「ニトリ」のインターンシップも気になるところですが、前年から大幅に順位をアップさせた企業のインターンシップはどんな内容だったのでしょう?
今回は、総合4位(昨年18位)・IT業界1位(昨年3位)にランクアップした、株式会社NTTデータの採用責任者・採用担当者に、インターンシップの裏側を伺いました。そこに表れたのは、新型コロナウイルスによる変化が大きい中で発揮された、真摯な学生目線と圧倒的なこだわり・挑戦の社風でした。
NTTデータのインターンシップの特徴は?
――本日はよろしくお願いします!はじめに、簡単に自己紹介をお願いできますか?
(升田さん)
はい、よろしくお願いします。NTTデータに入社後、コンサルティングを担う部署にて企業のデータ活用に関するコンサルティングからシステム開発まで一貫して従事していました。15年ほど直接お客様の課題解決に携わる業務に取り組んだのち、昨年度人事本部に異動し、新卒採用責任者として新卒採用に関するすべての意志決定を担っています。
(嶋方さん(写真右))
現在新卒で入社してから6年目になります。入社後は、医療分野のお客様に対する営業に従事しました。対外的にNTTデータの魅力を発信する仕事に就きたいと希望し、5年目のタイミングで人事本部へ異動。現在は、新卒採用に関するイベントや、今回のようなインターンシップの企画・運営リーダーをしています。
(水谷さん(写真左))
NTTデータには19年卒として入社し、現在2年目です。入社時から人事本部に配属されたのですが、できるだけ早く人事の広い目線が身につくように、グローバル人事、人財開発、社内異動、制度設計、など、多くの部署を経験しています。1年目の冬から新卒採用担当として、21卒向けのイベント対応や内定者フォロー、22卒向けのインターンシップ等の対応をしています。
■特徴は「学生の成長実感」と「リアル」
――ありがとうございます!では早速ですが、今回上位にランクインしたNTTデータのインターンの内容について教えてください。
(嶋方さん)
NTTデータでは2種類のインターンシップがあり、今回お話するのは4日間に渡って実施する夏のワークショップ型インターンシップです。今年は例年と異なり、初のオンラインでの実施となりました。
実際に入社後に取り組むNTTデータのリアルな仕事を体験してもらうことを目的とし、「顧客に訪問し、課題を明確にする」「チームで解決案を作り出す」「顧客にプレゼンテーションし、納得して意志決定してもらう」ということに取り組みます。
まず参加していただく学生の皆さんには、「皆さんを入社1~2年目のNTTデータ社員として扱います」と伝えています。
――とてもハードそうですね!学生の反応はどうですか?
(嶋方さん)
そうですね。最初は企業説明などの講義からスタートするので、「社員として扱う」というメッセージにピンとこない学生もいるようですが、初日の「顧客訪問」や「上司への報告」で「これはほかのインターンシップと違うぞ…」と思うようですね(笑)
お客様ではなく学生のみなさんを本気で社員として扱い、成長にコミットして対応しますので、鋭いフィードバックが入ることもあります。
■企業紹介や選考ではなく、学生の成長が一番の目的
――ワークショップ型のインターンシップであれば他社でも実施していますが、違いはどこでしょうか?
(升田さん)
NTTデータのインターンシップは、企業紹介や選考ではなく、「学生の成長」を最も大切な目的においていることが大きな違いに繋がっていると思います。
入社後の仕事をリアルに体験してもらうことと、今までにない成長実感を得てもらうために、「正解のない問いにチームで協力して取り組む」ことにチャレンジする。実際の業務でも、お客様が「これが課題だ」と明確に知っているわけではありません。また、提案内容を相談する上司も正解を持っているわけではない。自分たちで仮説を立てて、解決策をつくる必要があり、それを体験してもらっています。
チームで活動するうえで、メンバーに比べて自分の力が足りないことを知ったり、自分で何とかしようとしすぎて時間内にいいものが出来なかったり。それぞれの強み・弱みを最大限発揮しチームで課題に取り組むこと、また、正解がないので、意志を持って行動していく大切さに気づいていきます。
チームで議論して提案内容を考えるものの、上手くいかずに悔し涙を流す学生もいます。ただ、そうした学生を見るのは、いかに本気で取り組もうとしているかが伝わってくるので嬉しい気持ちにもなります。
もちろん苦しいだけではないです。チームの議論が活発になるように、困ったときにはサポートがしっかり受けられるように、インターンシップ全体を組み立てています。やり切った後の学生さんの晴れやかな顔は忘れられません。
学生に評価されるインターンシップができるまでの苦労・工夫は?
■オンラインかオフラインか、という問題ではない
――今年は新型コロナウイルスの影響もあり、準備は簡単ではなかったと思います。実施までの苦労や工夫はありますか?
(嶋方さん)
正直とても大変でした…。学生と社員の安全・安心を第一に考えればオンライン(Web/遠隔)なのですが、学生側のオフライン(対面)希望も多く、私たち採用担当としても本気で学生の成長に責任を持つなら、オフラインの方がよいなと。ギリギリまで、オンラインとオフライン、どちらの場合でもよいように企画や準備を進めていました。
(升田さん)
最初からオンラインでやる、と決めてしまうことは簡単で、準備も1つだけの方が楽だったのですが、安易にあきらめてしまっていいのかと。7月下旬からの実施でしたが、最終的にオンラインと決めたのは7月の頭くらいだったと思います。
決定してからは、オンラインでもこれまで以上の価値を学生に届けられるか、という視点で組み立てていきました。大事なのはオンラインかオフラインか、ではなく、学生の成長につながるプログラムを提供できるかどうかです。
■大きなポイントはコミュニケーションだった
――オンラインで実施すると決まってから、どのように準備をしていったのですか?
(嶋方さん)
まず、これまでのインターンシップを見直し、コンテンツごとに学生にどんな価値を提供してきたのかを要素分解していきました。顧客訪問はこういう意味がある、上司報告ではこういう目的がある、途中の社員との座談会はこういう効果がある、などです。
対面では提供できていた価値も、オンラインだと提供できないこともあります。できないと単純にあきらめるのではなく、分解して見えてきた要素・価値を、別の方法で学生に届けられないか、と深めていきました。
(升田さん)
オンラインになって最も大事なポイントはコミュニケーションでしたね。オンラインになると温度感も伝わりにくいですし、雑談もしにくい。チームでプロジェクトに取り組むには、早くチームメンバー同士で打ち解けて、安全な場として自由に発言できる環境を作っていく必要があります。
そのため、使用するツールの選定もこだわって検討しました。便利さとセキュリティを担保した結果、最終的にZoomとSlackを活用したのですが、ツールが全て決定したのはインターンシップ開催の3日前でした。
■ゆるさを許容するコミュニケーション
――コミュニケーションをより良くするために、ツールをどのように活用したのですか?
(水谷さん)
Slackでは、参加学生も自由にリアクション画像を送れるようにするなど、誰かが発言した内容に反応がしやすい環境をつくりました。また、会社の雰囲気が伝わるように、オフィスから見える風景や社食の昼食を流して、コミュニケーションの活性化を図りました。会社の雰囲気が分かるという意味でも好評だったようです。
他にも、Zoomの機能を活用して社員との少人数の座談会を設定したり、別のチームと雑談ができるように、部活・サークル・趣味のルームをつくって自由に移動できるようにしたり、様々な形で対話が生まれるように仕掛けていきました。
また、オンライン環境下だとチーム内でのクロストークがしにくいという問題がありました。そこで、複数ルームに分けて作業ができるような環境もつくりましたね。これは、学生からインターンシップ中に出た意見で、即座に取り入れて対応しました。学生と一緒にワークショップを作っていっている雰囲気も良かったのかもしれません。
学生満足度99%!社員からのフィードバックに感動
――ワークショップの内容だけでなく、場づくりも重要だったのですね。終了後、学生はどんな様子でした?
(嶋方さん)
おかげさまで、学生の満足度は99%でした!こだわって作ってきてよかったと、本当に思いましたね。学生からは「4日間を通じて伝えてくれたメッセージも明確で、今後の就活に、人生に活かしていこうと思うような内容でした。学びが多く、参加して本当に良かったです。」「人生の中でもトップレベルで濃い4日間だったと思います。社会人とは働くとは、を考えさせていただけたと同時に自分の能力にも向き合わせていただけたのでとても良かったです。ありがとうございました。」という声があがっていました。
もっとこれからも成長したい、と個別にフィードバックを欲しがる学生さんが本当に多くて、個別相談の時間を増やしましたね。升田さんにフィードバックをもらいたい学生は順番待ちになっていました(笑)
(升田さん)
インターンシップが始まるときに、新型コロナウイルスもあり前例のない中で新しいインターンシップにチャレンジしよう、一緒につくっていこうと学生に伝えていました。細部までこだわったコミュニケーションの取り方も含めて、私たち社員と学生、学生同士で、よりよい関係性ができていたからこそ成功したのだと思います。
エントリーシートやdodaキャンパスのキャリアノートでは、どういったところを見ますか?
―インターンシップではどんな学生が活躍されていましたか?
(嶋方さん)
一概には言えないですね。リーダーシップを発揮して議論を引っ張っていける人もいれば、メンバーの特性を理解してうまく役割分担できる人、場を盛り上げてチームメンバーをモチベートできる人、アイデアを考えるのが得意な人、それぞれの考えをまとめるのが得意な人など、様々です。
(水谷さん)
共通していることといえば、受け身じゃないということでしょうか。グループワークをするうえで、全員がまとめ役ではいい成果は出ないですよね。チームとして結果を出すために「自分が何をすべきなのか」を自分で見つけ出して、アウトプットできることは大事だと思います。
――今後の選考に向けて、エントリーシートやdodaキャンパスのキャリアノートでは、どんなところを見ていますか?
(升田さん)
これも全員同じところを見る、ということはないのですが、「目標に向かって挑戦してきた」学生は魅力的に映りますね。
必ずしも、リーダーとして大きな成果をあげる必要はありません。目標に向かって自分なりの試行錯誤や努力、周りの巻き込み方など、いかに自身の強い想いを持って工夫しながらやり抜いているか、が大事だと思います。様々なことに挑戦することも良いですし、一つのことを深く究めることでも良いと思います。
学生へのメッセージ「今こそ動くべき!動く人ほど成長できる」
――最後に学生へ一言ずつメッセージをお願いします。
(嶋方さん)
学生のうちは失敗なんて気にしないで、色々なことに挑戦してほしいです。普段と同じ仲間とだけではなく、新しいコミュニティに入ったり、やってみたことがないことに取り組んだり。今までの範囲にとどまらず、新しいことに取り組んでほしいと思います。
(水谷さん)
当事者として、自分で決定して、何かに取り組んでほしいですね。やった結果、もし出来なかったとしても、取り組んだことが自信になります。大学生だからとか、コロナだから、とかは関係ないです。今は様々なテクノロジーもありますし、活用して取り組んでほしいですね。
(升田さん)
新型コロナウイルスの状況下で、学生の皆さんは辛い・大変な思いをしていると思います。一方で、そんな状況下の方が、コロナだから動かない人とどんな状況でも素早く受け入れて動く人とでは「普段より差が大きく」出てしまいます。コロナに関わらず、これからも予測できないことは起きます。どんな時でも、それを受け入れてその時にできることを考えて動ける人に是非なってください。皆さんの活躍を期待しています!
――ここまで長時間、詳細にありがとうございました!
NTTデータのインターンシップから見える「社風」とは?
株式会社NTTデータと聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?「大手企業で安定的」「新しいことに取り組みにくそう」「コミュニケーションが堅そう」といったイメージを持っている人もいるかもしれません。
今回インターンシップの裏側を伺うにつれ、学生のためにギリギリまで議論し続ける「顧客に向き合うこだわり」と、環境を言い訳にせずどうやったら実現できるかという「新しいことへの本質的な挑戦」の社風が見えてきました。また、本質的な挑戦を成功させるために「ON・OFFのメリハリ」といった働く環境を大事にしている様子も伺えます。
企業説明会やインターンシップ、OB/OG訪問など、企業の社風を知る機会は様々あります。ぜひ、次に参加するインターンシップや説明会では、企業の雰囲気やプログラムの意図を言語化する挑戦をしてみてください。より深い企業・業界理解につながっていきます。
皆様、本日は貴重なお話をありがとうございました。就活生のみなさんは、ぜひ参考にしてください!
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