プロフィール
企画名:匠の窓
サイバー大学 IT総合学部 2年
小吹 綺里 さん
※本記事は「キャリアゲートウェイ2025-アイデアコンペティション」の受賞者インタビュー記事です。
本コンペは、「大学低学年のうちに実践的な経験を経て、さらに学びや経験を深めてほしい」という考えのもと、大学1,2年生を対象に腕試しと成長機会を提供するべく開催されました。
「SDGs課題をアプリで解決」をテーマに、興味のあるSDGs課題を選択し、解決策を提案。多くの素晴らしい企画の中から、最優秀賞(1組)、優秀賞(2組)、企業賞(15組)、審査員特別賞(2組)の計20組が表彰を受けました。
この記事では、受賞企画の内容から、ビジコン参加の理由や参加によって得られた経験まで、受賞者の声をお届けします。
昨年の悔しさをバネに1年越しのリベンジ
――「キャリアゲートウェイ2025-アイデアコンペティション(ビジコン)」に出場したきっかけを教えてください。
自分の考えているアイデアや、日頃から感じている思いを形にして、企業の方に見ていただける点に魅力を感じて参加を決めました。どれだけ自分のアイデアが企業の方々に通用するのか、自分の力を試してみたいという思いがあったからです。実は昨年もこのコンテストに参加していたのですが、その時は受賞できず、最終選考に残ることも叶いませんでした。メンターさんから「あと少しだったよ」という言葉をいただき、それが本当に悔しくて……。「次こそは絶対にリベンジするぞ」と心に決め、2度目の挑戦をしました。
――ビジコンで発表したアプリの内容について教えてください。
伝統工芸品の職人さんを多角的にサポートするプラットフォームです。具体的には、「求人」「PR(魅力発信)」「EC(販売)」という3つの機能を一つのアプリに集約しました。既存のサービスでは、求人サイト、技術紹介サイト、ECサイトがそれぞれ独立して運用されていることが多く、ユーザーの行動が分断されていました。そこで「知る・買う・応募する」というサイクルを一つのアプリでスムーズに繋げることで、工芸品の需要を増やしつつ、新しい担い手を育成できる仕組みを構築しました。
――このアプリを考えたきっかけや、伝統工芸というテーマを選んだ理由は?
もともと日本の伝統文化が好きで、自分に何かできることはないかとずっと考えていました。職人さんに密着したドキュメンタリー番組などで、後継者不足のために貴重な技術が途絶えてしまう現状を知り、強い危機感を抱いていたんです。 自分にできることが何かないかと考える中、たとえどこかに弟子入りしたとしても守れる技術は1つだけだということに気づきました。そこで、後継者不足を改善する仕組みを作れば、日本全体の伝統工芸を支え、多くの職人さんが抱える課題を解決に導けるのではないかと考えたのが着想の原点です。
リアルに困っていることは? 現場の声を調査しに工房へ
――企画を練る際、どのようなリサーチを行いましたか?
提案を「机上の空論」にしたくなかったので、現場の一次情報を徹底的に集めることにこだわりました。まず、全国各地の職人さん約20件に対し、問い合わせフォームからアンケートへの協力を依頼し、定性的な情報の収集を試みました。それと並行して、より「リアルな声」を聞くために地元にある工房へ直接足を運び、ヒアリングを行いました。アンケートで広く意見を募るだけでなく、職人さんへ実際にインタビューすることで、彼らが「今、一番困っていること」を正確に把握し、そこに対して的確にアプローチしたいと考えたからです。
漆職人さんや陶芸家さんのもとを訪ねましたが、漆職人の方はご年配で、そもそもメールを確認する習慣がなかったというお話も伺いました。もしメールの返信を待っているだけだったら、こうした「ITツールへの距離感」という現場のリアルな状況を知ることはできなかったと思います。
職人さんからのヒアリングからはいくつかの課題が見えてきました。まず、後継者を育てたくても、そもそも弟子を雇うための十分な売上が立っていないという構造的な問題があること。また、海外で日本の工芸品が注目されている一方で、物理的な距離による物流コストや、繊細な品物を運ぶハードルの高さが輸出を妨げているという課題も見えてきました。これらのリアルな課題をすべて受け止め、「いかに職人の売上を上げられるか」「後継者が希望を持てる環境を作るか」を企画の核に据えました。
――特に苦労したことはありますか?
自分の頭の中にある膨大なイメージを、初めて聞く人にわかりやすく伝えるプロセスに最も苦戦しました。伝統工芸という大きな社会課題を解決したいという想いが強すぎて、最初に作った資料は導入部分だけで10ページを超えてしまい、肝心の解決策(アプリ機能)の説明が薄くなってしまったんです。
このため、不要な部分を削ぎ落として起承転結を整える作業を繰り返しました。マーケティングの視点で考えると「ターゲットを絞るべきだ」と思う一方で、「多くの人を助けたい」という思いもあり、非常に悩みました。最終的には、職人さんにスポットを当てることでターゲットを明確にし、論理的な一貫性を持たせるように意識して資料をブラッシュアップしました。
――最終プレゼンのステージはいかがでしたか?
昨年かなわなかったあの舞台にようやく立てた、という感慨深さがありました。本番直前にスライドが表示されないなどの機材トラブルがあり、発表順を繰り下げていただく事態になりましたが、お隣に座っていた他の参加者の方と雑談ができたことで、不思議とリラックスして臨むことができました。
企業の方からは「論理的で、話がスラスラと入ってくる」と評価をいただくことができ、大きな自信になりました。自分がこだわった「論理の裏付け」や「現場の声」という部分を認めていただけたことが、何より嬉しかったです。
「面倒くさがり」な自分を変えた、能動的に動くことの大切さ
――このビジコンで学んだことはありますか?
もともと私は少し面倒くさがりなところがあり、自分から積極的に動くことが苦手でした。しかし、今回自らアポを取り、アンケートを募り、足を使ってリサーチした経験を通じて、「自分から動かなければ、説得力のあるものは作れない」という当たり前の、でも大切な事実を身に染みて学びました。
昨年はグループでの参加もしていましたが、今年はあえて一人で参加し、すべてのクオリティを自分で引き上げることに集中しました。一人で悩み、もがいた末に、企業の方や大勢の参加者の前で発表し、優秀賞をいただけたことは、自分の殻を破る大きなきっかけになったと感じています。
――最後に、ビジコンに興味を持つ学生にメッセージをお願いします。
自分のアイデアを社会人の方に見てもらえる、これほど貴重な機会は他にありません。挑戦する過程で、大学の授業やアルバイトとの両立が難しくなったり、自分の苦手な部分が見えてきて辛くなったりすることもあると思います。でも、自分の可能性を決めつけずにもがき抜いた先には、参加する前とは違う景色や視点を得ることができると思います。「自分にできるかな」と迷っているのなら、ぜひ勇気を出して一歩踏み出してみてください。その一歩が、きっとあなた自身を大きく変える経験になるはずです!
※掲載情報は2026年3月時点の内容です。
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