プロフィール
企画名:「農業×食育×IT スマホで大農園」
滋賀大学 経済学部 2年
田中 友弥 さん
※本記事は「キャリアゲートウェイ2024-アイデアコンペティション」の受賞者インタビュー記事です。
本コンペは、「大学低学年のうちに実践的な経験を経て、さらに学びや経験を深めてほしい」という考えのもと、大学1,2年生を対象に腕試しと成長機会を提供するべく開催されました。
「SDGs課題をアプリで解決」をテーマに、興味のあるSDGs課題を選択し、解決策を提案。多くの素晴らしい企画の中から、最優秀賞(1組)、優秀賞(2組)、企業賞(14組)、審査員特別賞(2組)の計19組が表彰を受けました。
この記事では、受賞企画の内容から、ビジコン参加の理由や参加によって得られた経験まで、受賞者の声をお届けします。
農業を身近なものにして、日本の農業産業の課題を解決したい
――「キャリアゲートウェイ2024-アイデアコンペティション(ビジコン)」に出場したきっかけを教えてください。
1年次の夏から、データサイエンスを専門的に学んでいる大学の仲間と一緒に、今回プレゼンした活動に取り組んでいます。活動していることを発表する場所を探していたときに、インターネットで募集を見つけ、社会人からフィードバックももらえる良い機会だと思い、応募しました。
――ビジコンで発表したアプリの内容について教えてください。
「農業×食育×IT スマホで大農園」という企画で、一般の人が農業をリアルに体験できるサービスを考えました。ユーザーは、アプリを通して、農作業の指示を出し、私たち運営サイドがその指示に従って、農作物を管理するものです。ユーザーと農作物の管理者をアプリでつなぐことで、広い土地を確保するのが難しい都会に住みながら、地方にある広大な畑を区分所有して、農業を楽しむことを可能にします。
――このアプリを企画した背景や理由は?
着目した社会課題は、農家の減少や農家の高齢化。日本の農業産業の危機をどうにかしたいと考え、企画しました。私は幼い頃から農業に興味があり、栽培キットを使って植物を育てていましたが、土地を借りて、本格的に野菜づくりをするには、時間とお金、そして、特別な知識が必要です。実行に移せない悔しさを体験したことから、農業の性質である「とっつきづらさ」を取っ払い、農業を身近なものにしたいと本気で考えるようになり、たどり着いたのが今回のビジネスモデルでした。
今回の企画のポイントは、農家(農業従事者)を増やすことではなく、「農業関係人口」の増加を目的としていることです。農業関係人口とは、農業に何らかの形で関わる人々を指します。つまり、専業ではないけれど、農作業を担える人を増やし、農業が抱える問題を解決しようというものです。農家が減少している一方で、「農業に触れてみたい」「農業を通じて子どもに食育をさせたい」というニーズは増えています。そこにビジネスチャンスがあると考えています。
――ビジネスプランはどのように考えていますか?
サブスクでシェア畑のオーナーになってもらい、リターンとして収穫した野菜を提供するのが基本的なモデルです。オーナーはアプリを使って、農作物の栽培に関する指示を現場に出したり、定期的に写真付きのレポートを受け取ったりすることができます。育てた野菜は、自分で収穫して持ち帰ることもできるし、収穫を現場に依頼して、郵送で受け取ることも可能です。
畑1区画あたりの契約料は、月額5000円。年間で6万円になる計算です。損益分岐点は、16区画になっていて、これを超えれば、初期投資を回収できると想定しています。競合他社のモデルも見ながら、ビジネスプランを練っていますが、ここには本当に苦労しました。今でも、毎日「これでいいのか?」と自問自答しながら磨き上げているところです。
農業用のAIチャットボットをオリジナルで開発
――今回の企画を考えるうえで工夫したポイントは?
農業体験をいかにリアルに近づけられるかを大事にしました。アプリの機能としては、2つあります。1つは「観察日記」で、クラウドサーバーを使って、畑の動画をリアルタイムで見られるようにしています。2つ目は、質問に答える「チャットボット」です。これは、既製の生成AIなどに頼らず、オリジナルで対話型AIを開発しました。つまり、農作業に関する代表的な質問に答えてくれる農業用AIを独自でつくったのです。大量の質問例、回答例を作成し、読み込ませる必要があり、これは本当に大変でした。子どもが質問してもわかりやすいように、かみ砕いて説明できるようにした点もこだわったポイントです。
――今回ビジコンに参加して、学んだこと、得たことは?
大勢の前でプレゼンをすることは初めての機会だったので、このビジコンを通じてプレゼンスキルは相当鍛えられたと思います。準備段階では、メンター学生の方に相談しながら、伝えたいことがきちんと伝わっているかを何度も確認しました。他のビジコンでは、発表したらそれっきりというのが普通ですが、このビジコンは、一緒に成長していこうという雰囲気がとても印象的でした。話し方やスピード、声のトーンまで、気になることは大小を問わずに気軽に相談できたので、とてもありがたかったですね。
また、予選会でのプレゼン後にいただいた、企業の方からのフィードバックも本当に役立ちました。「もっとユーザーの解像度を上げたほうがいい」「今のままでは本質的な課題が見えづらい」といった意見から、課題の解像度を上げて、「放棄耕作地を減らす」という課題にフォーカスすることに変更しました。ビジコンに参加したことで、より説得力の高いビジネスモデルに昇華できたことも大きな収穫でした。
起業を考える仲間とのつながりも大きな刺激に

――この経験をこれからの大学生活にどのように活かしたいですか?
企業の方からのアドバイスを受けて自分たちの事業計画をブラッシュアップできたとともに、プレゼンスキルも鍛えられました。今後の目標としては、さらにサービスの付加価値を高めて、近いうちにサービスをリリースしたいと思っています。まずは、ユーザーさんに畑やアプリを使ってもらい、意見を聞きながら、さらにバージョンアップしていくつもりです。
また、最終プレゼンが行われたグランプリファイナルの会場では、起業を考えている他大学の学生とも交流ができました。同じような考え方の人と交流できたことで、視野が広がったとともに、大きな刺激にもなりました。このつながりは今後も大事にしていきたいですね。
――次年度の参加者に向けてメッセージをお願いします!
正直な気持ちとして、「参加してよかった」と痛感しています。このビジコンは、参加者へのサポートがびっくりするほど手厚く、さらに他大学の学生との交流を通じて、刺激を受けることもできます。参加してマイナスになることは何もないので、「とりあえずやってみよう!」という気持ちで参加してみてほしいと思います。
※掲載情報は2025年2月時点の内容です。
田中:connect.dacha@gmail.com
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