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災害による通信途絶時にも大活躍!発光モールス信号を送受信するアプリ

  • インタビュー
  • 2025.04.30
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プロフィール

川崎重工業賞受賞
企画名:
「通信インフラ途絶等非常時向け、双方向コミュニケーションアプリ『モールスくん★――』」
上智大学 法学部 2年
突元 優花 さん

※本記事は「キャリアゲートウェイ2024-アイデアコンペティション」の受賞者インタビュー記事です。
本コンペは、「大学低学年のうちに実践的な経験を経て、さらに学びや経験を深めてほしい」という考えのもと、大学1,2年生を対象に腕試しと成長機会を提供するべく開催されました。

「SDGs課題をアプリで解決」をテーマに、興味のあるSDGs課題を選択し、解決策を提案。多くの素晴らしい企画の中から、最優秀賞(1組)、優秀賞(2組)、企業賞(14組)、審査員特別賞(2組)の計19組が表彰を受けました。

この記事では、受賞企画の内容から、ビジコン参加の理由や参加によって得られた経験まで、受賞者の声をお届けします。

災害時こそ注目される「ローテク通信」

――「キャリアゲートウェイ 2024-アイデアコンペティション(ビジコン)」に出場したきっかけを教えてください。

大学2年次の10月頃に、dodaキャンパス上でビジコンの参加者募集を見つけました。大人数の前でのプレゼンやコンテスト出場はまったく経験がなかったのですが、家族に「やってみれば」「失敗しても失うものはない」と背中を押してもらい出場を決めました。

私は大学の弁論部に所属しているのですが、これまで人前で発表することに苦手意識がありました。しかし、自分の考えに自信を持って伝えられるようになりたいと思い、この経験を弁論部の活動にも活かしたいと考えました。

――ビジコンで発表したアプリの内容について教えてください。

企画したアプリの名前は「モールスくん★――」。その名の通り、モールス信号を送受信できるスマホ向けアプリです。東日本大震災をはじめとする大災害のときに必ず話題になるのが「通信の不調」です。この原因のひとつは、ハード面で災害によって通信施設が故障するというもの。もうひとつは、ソフト面で人命救助を優先するために、一般向け通信回線が制限される場合があるからです。「モールスくん★――」は、このような通信インフラ途絶後から復旧までのコミュニケーションを支える補完手段になると考えています。

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時代背景としては、通信のハイテク化が進んでいますが、災害時こそハイテクなインフラに依存しない「ローテク通信」の価値が高まるのでは?と考え、「モールス通信」に着目しました。小学校の頃、暗号通信に興味があったので、「そういえば、モールス信号ってあったな……」と思いついたところから企画を進めていきました。

スマホを使って発光モールス信号を送受信

――アプリの機能について、具体的に教えてください。

アプリの機能は大きく「送信」と「受信」に分かれます。送信時は、ユーザーがスマホで文章を入力すると、その文字をアプリが認識し、モールス信号に変換します。そして、スマホ内蔵フラッシュの点滅によって、発光信号を送信します。文字入力ができない事態も想定し、スマホ内蔵カメラで撮影した文字を認識してモールス変換する機能、緊急信号自動発信ボタンなども搭載しています。

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受信時は、誰かが発信した発光モールス信号を見つけた際、スマホ内蔵カメラでそれを受信。受信した発光信号を文字変換し、被害状況や必要な救助の内容を確認します。通信が遮断されてもスマホの充電がわずかに残っていれば、発光によるモールス信号を送ることができるため、これがインフラの最後の砦になると考えました。

――今回の企画を考えるうえで苦労したことは?

災害時の通信環境の実状がわからないので、それを調べるのに苦労しました。行政の資料なども調べましたが、詳しいことはわかりません。そこで、父の知り合いをたどって、元陸上自衛隊1等陸佐の方へのインタビューを行いました。 話を聞くと、大災害時には、一般の通信回線の7割が遮断され、災害救助にリソースが回されるとのこと。その方は、国内の数々の震災現場で救助にあたった経験があり、そのリアルな内容はアプリを構想するうえで、本当に役立ちました。元自衛隊の方から直接話を聞くということで、かなり緊張しましたが、知らなかったことも多く、現場の一次情報の重要性を実感しました。

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もうひとつ大変だったのは、ビジネスモデルを考えたことです。12月の企業向けプレゼンで企業から「より具体化するように」とフィードバックを受けました。これまでビジネスに触れる機会がなかったため、モデルが抽象的であると気づきになりました。

モデルの精度を高めるにあたり、まず、課金してくれる可能性のある対象として、①個人ユーザー、②スマホ通信業者、③公共機関、④行政団体の4つを想定しました。個人ユーザーはキャンプ愛好家など規模が小さいものの、ビジネス対象の一部となり得ます。収益の主要な柱をスマホ通信業者としつつも、その他の対象も含め、幅広い可能性を視野に入れながらビジネスモデルを検討しました。

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災害時に役立つアプリとして認めてもらえれば、スマホ購入時に最初から搭載されているアプリとして採用してもらえる可能性があります。日本国内のスマホ契約者数は、約2億件。そのうち1%の200万人が毎月10円を継続的に課金してくれるだけで、2000万円の売上になります。

このモデルは、企業の方からアドバイスを受けてブラッシュアップしましたが、そもそも社会人のビジネスのスケールの大きさに驚きました。自分ひとりでは、解像度を高める必要があると気づけなかったと思います。

目標設定と達成を繰り返すことで自信に

――今回のビジコンに参加してよかったと思うこと、学べたと思うことは?

アプリの企画を考えるだけでなく、ビジネスとして成立させる方法を考える経験ができ、初めて「社会に触れた」という実感を得られました。いつまでも学生のままの気分でしたが、もうすぐ社会人になるんだという自覚が湧きましたね。

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また、弁論部に所属していながら、人前で発表する機会を避けてきた自分にとって、グランプリファイナル会場の檀上での発表をやり遂げたことは、大きな成功体験になりました。緊張しながらも社会人やメンターの方とディスカッションを繰り返し、発表にたどり着けたことで、「意外と就活も大丈夫かも」と自信がつきました。

――この経験をこれからの大学生活でどのように活かしたいですか?

人前に立って、話すときのコツがつかめた気がします。これは、就職活動やインターンシップの面接で確実に役立つと思います。また、今回のビジコンを通して、目標を立てて、それを確実にやり遂げる経験を積むことができました。 例えば、予選のプレゼンをした後に企業の方から、「他のモールス信号のアプリと何が違うの?」と質問を受け、これを改善するという目標を立てました。その後、ファイナルステージに向けて、競合となるアプリをひと通り調べて、差別化ポイントをまとめました。こうした小さな目標設定と達成を繰り返すサイクルを習慣化できたのは、大きな収穫だと思っています。

人々の暮らしを支える企業で、「モールスくん ★――」を実用化したい!

――将来の目標があれば、教えてください。

今回のビジコン出場を通して、自分は仕事を通して社会に貢献したいという気持ちが強いことに気づきました。将来はインフラ系、情報系の業界で、人々の暮らしを支えるような仕事をしたいと思っています。その関連の企業に就職した際は、「モールスくん★ーー」をアプリとして実用化できたらいいなと考えています!

――最後に、ビジコンに興味を持つ学生にメッセージをお願いします。

ビジコンに興味はあるけれど、参加を迷う人は多いと思います。実際、私もそうでした。それでも、「たとえ失敗したとしても得るものしかない。失敗から大いに学べばいい」と思って参加して、受賞までできたことは大きな自信になりました。このビジコンは、サポートもしっかりしているので、失敗を怖れる必要はありません。興味が少しでもあれば、迷わず参加してください!

※掲載情報は2025年2月時点の内容です。

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