プロフィール
企画名:「クラビジ」
武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 1年
石垣 遼太郎 さん、松井 ひなた さん
松本 琉路 さん、森山 陽彩 さん
※本記事は「キャリアゲートウェイ2024-アイデアコンペティション」の受賞者インタビュー記事です。
本コンペは、「大学低学年のうちに実践的な経験を経て、さらに学びや経験を深めてほしい」という考えのもと、大学1,2年生を対象に腕試しと成長機会を提供するべく開催されました。
「SDGs課題をアプリで解決」をテーマに、興味のあるSDGs課題を選択し、解決策を提案。多くの素晴らしい企画の中から、最優秀賞(1組)、優秀賞(2組)、企業賞(14組)、審査員特別賞(2組)の計19組が表彰を受けました。
この記事では、受賞企画の内容から、ビジコン参加の理由や参加によって得られた経験まで、受賞者の声をお届けします。
自分たちのアイデアが社会で通用するのか知りたかった
――「キャリアゲートウェイ2024-アイデアコンペティション(ビジコン)」に出場したきっかけを教えてください。
石垣さん:今回の「クラビジ」の企画は、僕たちの大学内で実施されたコンテストに参加する際に企画したものです。学内の大会では優勝できましたが、大学外での評価はどうなのか……。それを確かめたいと思っていたところに今回のビジコンを見つけ、参加を決めました。
――ビジコンで発表したアプリの内容について教えてください。
松本さん:私たちが考えた「クラビジ」は、大学進学時のミスマッチ解消を目的とした授業動画を閲覧できるプラットフォームです。大学の情報はウェブサイトなどでも収集できますが、テキスト情報が多く、実際の授業内容や雰囲気を知ることは難しいのが現状です。
オープンキャンパスもありますが、興味のあるすべての大学を訪れるのは現実的ではなく、十分な情報がないまま進学先を決めてしまったり、偏差値だけで選んでしまったりするケースも少なくありません。このような学生の課題を解決するとともに、広報活動に課題を抱える大学側のニーズを満たすサービスを企画しました。
松井さん:主なターゲットは、総合型・推薦入試を検討する高校生です。高校生はユーザー登録することで、複数の大学の模擬授業動画を視聴し、進学先選びの参考にできます。
森山さん:高校生が手軽に大学の授業に触れられるよう、ショート動画機能も搭載しました。授業の一部を1分程度にまとめ、TikTokのように連続視聴できる仕組みを採用することで、効率的に情報収集ができます。アプリ名の「クラビジ」は、「Class Visit(授業参観)」に由来し、「大学の授業をより身近に体験できる場」を提供することを目指しています。
大学選びへの共通の問題意識が企画のスタート
――「クラビジ」を思いついた背景にはどんな経緯がありましたか?
森山さん:私は高校を偏差値だけで選んで後悔した経験があり、進学先選びのミスマッチに対して課題感を持っていました。周りからは高校名だけで「すごい」と言われるけど、授業はつまらない。この経験から、大学は「自分がやりたいことができる、自分に合った大学を選ぼう」と考えていました。
松本さん:森山さんの「自分に合った環境選び」に対する課題意識やアイデアに、メンバーが共感したことで、「クラビジ」の企画が進んでいきました。僕たちメンバー4人の出身校は、インターナショナルスクール・通信制の学校・スポーツコース・進学校と多様です。なおかつ現在のアントレプレナーシップ学部という少し特殊な学部に所属していて、学校名や偏差値ではなく、「何を学べるか」といった中身を進路選びの軸にしてきた4人だからこそ、今回の企画が誕生したと思います。
――ビジネスモデルを詳しく教えてください。
松井さん:はじめは「動画プラットフォームがあればいいよね」というアイデアから、ビジネスとして実現可能性を高めるため、企画を詰めていきました。進めていく中で、大学側のニーズをヒアリングしていたところ、入試広報に課題があることが判明。ここから、大学側の課題解決も組み合わせることで、マネタイズができるのではないかと考え、ビジネスモデルを組み立てていきました。
石垣さん:大学の入試広報課にヒアリングを行うなかで、「SNS 広告を活用しているものの、ターゲット層にどの程度リーチできているのかは把握できていない」という声が聞かれました。入試広報活動は効果測定が困難であるため、「クラビジ」の企画のような、視聴データを可視化できるプラットフォームが大学側にとっても大きな価値を持つ可能性があると確信しました。ヒアリングによって大学側の本音を聞けたことで、成果報酬型の課金による収益モデルの構築につながりました。
森山さん:収支計画を計算した際に、ベンチャーキャピタルに精通する大学の教授に見せたところ、「需要があるから、設定金額をもっと高くしてもいいのでは」といった意見をもらいました。自分たちでは基準がわからない中だったのですが、それだけ需要があると言っていただけたことは驚きとともに企画に対する自信にもなりましたね。
課題の重要性やコア価値を届けることで「共感」が生まれた
――今回の企画を考えるうえで工夫したポイントは?
松本さん:サービスのコア価値を明確にすることです。当初は大学と高校生の双方にメリットがあるサービス特性ゆえ、強調すべき価値が曖昧でした。改めて「クラビジ」のコア価値を問い直し、「大学の広報の評価が細かくできる」という点が、他動画サイトにはない独自の価値だということを再認識しました。視聴データだけではなく、視聴ユーザーの属性や、ほかにどの大学の動画を見ているのかなどの競合情報まで取得できるのは「クラビジ」ならでは。これにより、ビジネスモデルの説得力が増し、企画の方向性が明確になりました。
松井さん:私は発表を担当したので、その準備が大変でしたね。教育系サービスであるため、単なる機能説明ではなく、聞く人の共感を得られるようなストーリーや話し方を意識しました。また、ターゲット層やポジショニングを明確にし、総合型選抜の増加といった社会的背景と関連づけることで、課題の重要性を強調して、説得力を高めることも工夫したポイントです。

――今回のビジコンに参加してよかったと思うこと、学べたと思うことは?
石垣さん:企業の方々と直接対話し、ビジネスの現実を学べたことが大きな収穫でした。授業動画の質の維持やマネタイズの実現可能性、収益モデルのロードマップなど、理想だけでなく、実行可能なプランを構築する重要性を痛感しました。また、志の高い同世代の学生との交流も刺激になりました。他のチームの発表や成果物から学ぶことが多く、ビジネスに対する熱意を共有できたことが何より嬉しかったです。
森山さん:企業の方々が想像以上に協力的であったことに驚きました。発表の場だけでなく、休憩中などに声をかけていただき、「共感した」「何か手伝えることがあれば」と言ってもらえたことは、大きな自信につながりました。
松井さん:学外のコンテストは初めてだったので、企業など社会人から見える視点を得られました。これからサービスを具体化していきたいと考えているので、課題や展望についても発見があり、実現に向けて良い機会だったと思います。
ビジネスの基礎を学びながら 実践的なスキルを身につけられる

――この経験をこれからの大学生活にどのように活かしたいですか?
松本さん:このコンテストを通じて、ビジネスを考える力や他者に伝える力を実践的に学べたと思います。僕たちの大学は、授業でもビジネスを考えたり、グループワークやプレゼンをしたりする機会も多いので、今回の経験を直接的に活かしていけると考えています。
松井さん:今回の経験を通じて、プレゼンにおいて「相手にどう伝えるか」といった魅せ方の重要性を実感しました。特に、ジェスチャーや視線の使い方など、非言語コミュニケーションの影響力を強く感じました。今後の大学生活では、今回のプレゼンで気づいたポイントも活かして、表現力や伝達力などを磨いていきたいと思います。
――最後に、ビジコンに興味を持つ学生にメッセージをお願いします。
松本さん:このコンテストを一言で表すと「学べるビジネスコンテスト」です。資料の作り方やユーザーヒアリングの方法などを無料で学びながら、受賞も狙えるところが魅力だと感じました。受賞だけでなく「学びたい・成長したい」という方にとってもいい機会だと思います。
森山さん:私たちのようにビジネスアイデアが明確に決まっている人はもちろん、まだ具体的な形になっていない人でも、さまざまな方のサポートを受けながら、アイデアを整理し形にしていくことができます。少しでもビジネスに興味があるなら、きっといい経験になると思います。
石垣さん:取り組んでいくうちに自然とビジネスの力が身についていくプログラムで、これを大学1年生で経験できたことは良い財産になったと思います。このプログラムの魅力は、アイデアを発表する場であると同時に、さまざまなフィードバックを受けながら、アイデアをビジネスとして育てられる機会でもあると思います。アイデアの種がある方は、自分の考えを具体化する機会としてぜひ参加してみてください。
松井さん:グランプリファイナリストに残れば、渋谷キューズのような大舞台でプレゼンをする貴重な経験が得られます。大きなステージで自分のビジネスプランを発表できることも、このコンテストの大きな価値だと感じました。ぜひ大舞台でのプレゼンを目指して、チャレンジしてみてほしいなと思います。
※掲載情報は2025年2月時点の内容です。
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