プロフィール
企画名:「得意でツナグ体験のチャンス―」
東京学芸大学 教育学部 2年
葛 恵音樹 さん
※本記事は「キャリアゲートウェイ2024-アイデアコンペティション」の受賞者インタビュー記事です。
本コンペは、「大学低学年のうちに実践的な経験を経て、さらに学びや経験を深めてほしい」という考えのもと、大学1,2年生を対象に腕試しと成長機会を提供するべく開催されました。
「SDGs課題をアプリで解決」をテーマに、興味のあるSDGs課題を選択し、解決策を提案。多くの素晴らしい企画の中から、最優秀賞(1組)、優秀賞(2組)、企業賞(14組)、審査員特別賞(2組)の計19組が表彰を受けました。
この記事では、受賞企画の内容から、ビジコン参加の理由や参加によって得られた経験まで、受賞者の声をお届けします。
「スライド3枚で応募できる」という気軽さから試しに挑戦
――「キャリアゲートウェイ2024-アイデアコンペティション(ビジコン)」に出場したきっかけを教えてください。
もともと教育分野に関心があり、特に子どもの「体験格差」の問題に興味を持っていました。背景には、「子ども食堂」でのボランティア活動を通じて感じたことがあります。
私がボランティア活動をしていた「子ども食堂」では、ただ食事を提供するだけでなく、体験活動を通じて子どもたちの成長を支援することにも力を入れていました。経済的な事情だけでなく、地理的な事情や、保護者の関心・情報収集能力の低さなどによって体験の機会が制限されている子どもがいるという現実を目の当たりにしたことで、「すべての子どもに公平な体験のチャンスを提供できないか」と考えるようになりました。
ちょうどその頃、ベネッセの活動(大学生サポーター)を通じてこのビジコンの案内をいただきました。もともとビジネスコンテストには馴染みがなかったのですが、「スライド3枚で応募できる」という気軽さもあり、「試しにやってみよう」と思い、応募しました。教育に関わるテーマであれば自分の大学での学びやボランティア経験が活かせるかもしれないと考えたことも、大きな決め手となりました。
大学生の「得意」と体験ニーズをマッチングするアプリ
――ビジコンで発表したアプリの内容について教えてください。
私が開発したアプリ「トクE(とくいー)」は、大学生の特技を活かし、子どもたちに多様な体験の機会を提供することを目的としています。日本では、経済的・地理的な要因のほか、さまざまな理由で体験の機会が限られている子どもが多く存在します。また、「そもそもどのような活動があるのか分からない」という情報格差も問題です。
このアプリでは、大学生が自分の得意なことを登録し、地域の子どもたちとマッチングすることができます。例えば、ピアノが得意な学生は音楽教室を開いたり、スポーツが得意な学生は運動教室を開催したりすることが可能です。
アプリのポイントとして、参加者のマッチングをスムーズに行うために、「スキルタグ」機能を搭載しました。大学生が自分の得意分野をタグ付けすることで、教育施設や保護者がニーズに合った学生を簡単に見つけることができます。さらに、活動の履歴を可視化する機能を設け、ボランティアに参加した大学生が実績を蓄積できるようにしました。これにより、学生自身も自己成長を実感し、キャリア形成につなげることができます。また、教育施設が活動の場を提供し、企業が支援する仕組みを取り入れることで、継続的な活動ができるとともに、教育格差解消にも貢献できます。
――今回の企画を考えるうえで大変だったことは?
最も苦労したのは、実現可能なビジネスモデルの構築でした。単なるアイデアではなく、継続して運用できる仕組みを作るために、ターゲットとなる子どもや保護者、大学生、教育機関、企業のニーズを詳細に調査しました。
特に、収益モデルの設計が難しく、大学生メンターの方や大学の先生、ビジネスに詳しい先輩にも相談しながら練り上げていきました。ビジネスモデルの作り方や利益の計算方法について具体的にアドバイスをもらうとともに、大学の先生からは「広告だけでなく、データ提供やサンプリングも収益源になり得る」という視点を教えていただきました。おかげで、最終的には企業がCSR活動の一環としてアプリを活用できる仕組みを構築し、運営資金を得る方法を考案することができました。
――今回ビジコンに参加して、学んだこと、得たことは?
このビジコンを通じて、企画力・プレゼン力の重要性を改めて実感しました。特に、アプリのアイデアを企業の方々に伝えるプレゼンの機会は非常に貴重でした。

プレゼンテーション資料をつくるうえで、大学の先輩から多くのアドバイスをいただいたことで、デザインや構成の工夫、伝え方のコツを学ぶことができたことは、大きな成長につながったと思います。
また、グランプリファイナルの会場では、他の参加学生と交流する機会もあり、話をする中で、自分とは異なる視点や新たな発想に触れることができたことも、大きな刺激になりました。
人とのつながりの大切さを実感できたビジコン

――この経験をこれからの大学生活でどのように活かしたいですか?
今回の経験を通じて、「行動することの大切さ」を学びました。アイデアを持っているだけではなく、それを形にし、発信し、実現に向けて動くことの重要性を強く感じました。
また、アプリ「トクE」の実現に向けて、より多くの人に知ってもらう活動を続けていきたいと考えています。今後は、教育施設や企業との連携を深め、実際に運用できる環境を整えるための取り組みも進めていく予定です。「子どもたちの体験格差をなくす」という目標を現実のものにしていけるよう、引き続き挑戦を続けていきたいです。
――次年度の参加者に向けてのメッセージをお願いします。
とりあえず、やってみないと始まりません!これは私が今回のビジネスコンテストを通じて強く実感したことです。最初は自分のアイデアが形になるのか、ビジネスの知識がないのにやっていけるのか、不安ばかりでした。でも、一歩踏み出してみると、先生やメンター、先輩など、たくさんの方々が助けてくれて、新しい視点や学びを得ることができました。
ビジコンは、単にアイデアを競う場ではなく、考えを深め、試行錯誤し、壁にぶつかりながらも成長していく場です。ビジネスの知識がなくても、最初は小さな一歩から始めれば大丈夫です!皆さんも、ぜひ最善を尽くしながら挑戦してみてください。
※掲載情報は2025年2月時点の内容です。
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