就職活動は誰もがわからないことだらけのスタート。時には思うようにいかず、いろいろと悩んでしまうこともあるでしょう。
そんな時、君の役に立ってくれるのが、就職活動を頑張ってきた先輩の体験談。さまざまな場面で悩みや困難を乗り越えてきた先輩のアドバイスはとても貴重です。
第5回目に登場するのは、2020年卒の秦野拓海さんです。地元のサッカーチームでコーチとして子どもたちを指導している秦野さん。2年生の頃からインターンシップに参加した話や、自己分析や企業分析の方法など……就職活動に興味を持った1、2年生の方にも、これから就職活動をはじめる3、4年生の方にも参考になる情報を聞いてきました。
12年間続けたサッカーで、選手から指導者の道へ
ーープロフィールを拝見すると、大学1年生の頃から地元の少年サッカーチームでコーチをされていたんですね。
「子どもの頃からプロサッカー選手になるのが夢で、12年間サッカーを続けてきたのですが……その夢が達成できないと気づいたことがきっかけになりました。僕の大学の運動部はスポーツ推薦の学生しか入ることができないんです。それでもサッカーは大好きだったので、なにかしらの形でサッカーには関わりたかった。サークルや社会人チームも体験しましたが、やるならもっと本気で取り組みたかったんです。そのときに、選手以外の道もあるのではないかと思いました。地元の小学生に自分の夢や経験を継承できたらいいなという思いが強くなり、指導者の道を選びました」
ーー自身が得た経験を下の世代に伝えるという新しい道に進まれたんですね。指導者をやってみて、難しかったことや困ったことはありましたか?
「今までやったことのない経験だったので、課題を解消するためにどう練習を組んで、どう伝えたら響くのか、選手が伸びるかということが全然わからず、苦労しました。指導スキルを身につけるために、所属チーム以外のサッカースクールや中学生のサッカーチームなどにもアシスタントとして参加しました。経験豊富な先輩指導者の近くで練習の内容や指示の伝え方を学んだり……一方で、選手の気持ちを体験するためにも、自分が選手として入って『指導者はどう見えるんだろう』ということを勉強したりもしました」
サッカーの経験からみえてきた、やりたい仕事の軸とは
ーーわからないことは徹底的に追求する性格なんですね。となると、就職先もスポーツに関する業界を考えているのですか?
「今はスポーツという軸では考えていません。『チーム作り』や『組織開発』など、人と人を組み合わせておきる化学反応で組織を大きく、または個人の能力を開発するような仕事をしたいなと考えています」
それはなぜですか?
「たとえばサッカーでも、うまくなりたい人、サッカーを楽しみたい人もいて、友達と遊びたいだけ人もいる。多様な考えを持った人が同じグラウンドに集まっていますが、いかにみんなサッカーをうまくなろうと、楽しもうという矢印に向けるかが大事だと思っています。みんなが同じ方向を向いたときに、“1+1=2”ではなく、3にも4にもなることをサッカーを通じて学びました。さらに指導経験を通じて、ではどうしたら個性のある人たちをまとめて大きな力を発揮できるのか? というメソッドや考え方に非常に興味を持ちました。チームに大体30人いるとして、20人が頑張ればなんとかなるという考えがあまり好きではないんです。組織の中にいる人みんなをいかに同じ矢印に向けるかが大切だと思っています」
ーーチーム内の全員が自発的に参加するチームを目指したいんですね。では、就活の軸も「人」になりますか?
「具体的に言うと、『人の良さを引き出し、人と人を結びつけて化学反応を起こし、組織を同じ方向に向ける』という軸と『人を人の力で幸せにしたい』というふたつの軸があります」
ーー人を幸せにしたいというのは具体的にどういったことでしょうか?
「小中学校時代、休み時間にクラスの端でいつも一人で絵を描いている子がいたんですよ。僕がその子に学園祭のポスターを依頼すると心を開いてうれしそうに絵を描いてくれた。しかも出来がすごくよくて、その子のポスターのおかげですごく人が集まったんです。そういうことがすごく嬉しかった。人の良さを引き出して、輝ける場所を与えたりすることによって、その人にとっても、組織にとってもハッピーになるという経験を中学生くらいからしてきたので、自分には向いているんじゃないかと思ったんですよね」
ーーなるほど! 多様な個性を引き出しながら、個々の能力をチーム内でも発揮して相乗効果を生み出す。まさに「組織開発」は、秦野さんにとって天職かもしれませんね。
成人式の次の日にインターンシップに参加
ーー就職活動を始めたのはいつからですか?
「純粋に成長したいとか、知らない世界を見てみたいということで2年生の8月にJリーグのインターンシップに参加しました。将来どうしようということを考えておらず、今までサッカーしかやってきていないので、将来を考えるという意味でも、シンプルに自分の好きな分野だったので参加してみました。」
ーーかなりはやい段階でインターンシップに参加されていたんですね。そこからどんどん就活に向けてのインターンシップをはじめたというわけですね。
「2年生の1月に広告代理店の5日間のインターンシップに参加させてもらいました。自分以外の参加者がみんな就活生で、結構驚かれました。実は成人式の次の日だったんですよ。1時まで飲んでいて、本当はもっと残りたかったのですが、『明日インターンだから』といって帰りました(笑)」
ーー 一生に一度の成人式をはやめに切り上げるのは辛かったでしょうね(笑)3年生になってからはどんなインターンシップに参加したのでしょうか?
「夏にふたたび広告代理店のインターンシップに参加しました。1月のインターンシップのワークショップで優勝できなかったことが悔しかったこともあり、「リベンジしてやるぞ』という気持ちでした」
ーー広告代理店以外にはインターンシップを受けましたか?
「教育業界です。子どもの成長をどうサポートするのか、どう可能性を切り開いていくのか、というのはちょうど今サッカーでやっていることと一緒かなと思ったので。人材系の企業も受けました。"働けない人が働いていくためにどうしたら良いか”というテーマの企画、サービスを考えました。人材系企業のインターンシップでは、『人をどう働けるようにするか』ということで、対象が『人』だったので僕にとっては面白かったです」
言語化で自己分析、就職四季報で企業分析
ーー積極的にインターンシップを受けに行くことで、行きたい業界・企業も絞れてきた。インターンシップを通じて悩んだことはありますか?
「選考になると緊張してしまうので、変に自分をアピールしたくなってあれもこれもいってしまい、「結局、何がいいたいの?』となることも多く……何社かのインターンシップはそれで落ちるという悔しい経験をしました」
ーー自分の意見を端的に分かりやすく伝えるということが苦手だったんですね。どういう方法で改善しようとしたのですか?
「緊張して話がつまってしまうのは、言いたいことが整理できていなかったり、自分に自信を持てていないからだなと思ったので、人生をさかのぼる作業を必死にやっています。『ロジカル面接術』(津田久資、下川美奈著/ワック株式会社発行)という書籍を参考にして、『小学生、中学生、高校生、大学生で何をやってきたか、どんな課題があってそれをどう乗り越えてきたのか』ということを紙に書いて言語化しました」
ーー自己分析を頭の中だけではなく、実際に文字にしてアウトプットしたんですね。たしかに、「サッカー選手から指導者へ。そして、組織開発に興味をもった」という話の流れはインタビューしていてもすごく腑に落ちました(笑)。他にも就活に役立った方法はありますか?
「『就職四季報』(株式会社東洋経済新報社著・発行)を読んで、○×をつけていくという方法です。『わくわくするか』、『その組織は自分が働きたい組織なのか』など、3つくらい自分の中で条件を決めて、その条件にあわない企業に×をつけていっています。『就職四季報』は企業規模やビジネスモデル、業界の動向が書いてあり、知らない企業や今まで見たことない業界も見ることができます」
短い大学生活。早い段階でなにか夢中になって取り組もう
ーー面白くかつ実践的な方法ですね。他に後輩に何かアドバイスなどあれば教えてください。
「できれば早い段階でインターンシップは参加したほうがいいです。就活を意識してから参加すると、アピールするためにどこか自分の能力を発揮しないといけないとか、自分の志望業界だけ見てみようとなりがちです。2年生の段階でのインターンシップは、就活という軸だけでなく純粋に人としても成長できるのではないでしょうか」
ーー早いうちにインターン経験を積んだ方が、道も決まりやすくなりますね。
「低学年のうちに就活生と一緒になると、1年後こうならないといけないというビジョンが見えると思います。インターンシップに限らず、サークルやアルバイト、ボランティア、NPO、何であれ、夢中になって取り組むことが大事なのではないかと。何かに夢中になると自然と努力できるのではないでしょうか」
ーー夢中になって努力したことは就活にも必ず活かせるということですね。本日はありがとうございました!
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