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近年「ポリコレ」という言葉を耳にする機会が増えています。「聞いたことはあるけれど意味は分からない」「具体的な事例を知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ポリコレの意味や問題点について、具体例も交えて詳細に解説します。一般的に浸透しつつある「ポリコレ」について、この機会に理解を深めましょう。
ポリコレとは?
まずは「ポリコレ」の意味や、浸透した背景について解説します。
まずは前提から!ポリコレの意味
「ポリコレ」はポリティカル・コレクトネスの略称で「政治的正しさ」を意味します。人種やジェンダーといった偏見を無くし、すべての人に不快感や不利益を与えないよう配慮された言葉遣い・方針を指す概念です。
歴史的には、1950〜60年代の米国公民権運動やアファーマティブアクションを背景に生まれ、その後日本にも広がりました。近年、日本ではジェンダー平等やLGBTQ+の権利拡大の流れとともに、広告やメディア表現への批判が高まり、ポリコレという言葉が注目されるようになったのです。
ポリコレが求められる理由
ポリコレが求められる理由は下記の通り、多岐にわたります。

なお、この思想は企業にも浸透中。「ダイバーシティ経営」を掲げる企業では、採用や社内制度を見直し、多様性を尊重する取り組みが進んでいます。
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【具体例】ポリコレに配慮して変更された表現
近年、ポリコレに配慮してさまざまな表現が変更されています。知らずに旧表現を用いると「差別的」と捉えられる恐れもあるため、しっかり覚えておきましょう。
性別への配慮
過去は働き手に多い特定の性別を指す職業名・肩書きが多くありましたが、現在は中性的な名称に変更されるケースが増加しています。
例
- ビジネスマン→ビジネスパーソン
- スチュワーデス→客室乗務員
- カメラマン→フォトグラファー
- 看護婦→看護師
- 保母→保育士
また、学校や保育園・幼稚園では「~くん」「~ちゃん」といった性別を特定する呼称を廃止し、男女とも「~さん」と呼ぶ動きも広がっています。
人種・民族への配慮
かつては差別的な意図を含んだ呼称が使われていたこともありましたが、現在では中立的な表現に置き換えられることが増えています。
例
- インディアン→ネイティブ・アメリカン
- エスキモー→イヌイット、ネイティブ・アラスカン
- 黒人→黒人、アフリカ系(文脈によって異なる)
- 外人→外国人
- 肌色→ベージュ、薄だいだい色
障がいや病気への配慮
ここでは、過去の表現からニュアンスを変更し、当事者の尊厳を守る形に変更されるケースが増加。「障害者 *」から「障がい者」、「痴呆症」から「認知症」など医療や教育の現場でも言葉の見直しが進んでいます。
*政府系の表記は変更前を使用
性の自認に対する配慮
性はこれまで「男」か「女」で明確に分類されていましたが、近年では性別に依存しない表現が増えています。
例
- 性別欄に「どちらでもない」「非回答」を追加
- 「旦那」「家内」という表現を「パートナー」で統一
- 「父母参観」から保護者参観へ
企業や学校では通称名や自認する性で呼ばれる制度を導入する例も。これらの動きは、LGBTQ+を含め多様な人が尊重される社会をつくる大きな一歩といえるでしょう。
社会で話題になった事例
ポリコレをめぐる議論は、国内外さまざまな形で表面化しています。ここでは、日本と海外に分けて代表的なケースを紹介します。
国内(商品名変更、ディズニー映画、ゲームなど)
日本では、商品名や広告、エンタメ作品をめぐりポリコレが話題になるケースが多くあります。
| 例 | 変更内容や理由 |
|---|---|
| ファミリーマート:お母さん食堂 | 家事を担うのが母親であるという固定観念を強めるため、「ファミマル」へ変更 |
| ピーターパン | 先住民の表現が問題視され、作品配信時に注意喚起を表示 |
| ファイナルファンタジー16 | 主要キャラクターの多くが白人系であることから、多様性欠如の批判を受ける |
| 「老人」表示 | 「老い」というネガティブ表現を修正し、「シニア」「高齢者」へ |
これらの事例は、企業や制作者が社会的な反応を無視できなくなった ことを示しています。従来なら議論にならなかった要素が、今では大きな社会問題として受け止められるようになっているのです。
広告や商品名の炎上を避けるには、多様な価値観を知り、深く理解することが大切。自分の価値観をしっかり認識することが第一歩です。「価値観と言われてもわからない……」という方はdodaキャンパスの就活軸診断を活用してみてください。【所要時間5分】であなたが大切にしている価値観を言語化できます。
海外(アメリカでの議論や規制事例)
アメリカでは、ポリコレが政治や教育に深く関わり「DEI(多様性・公平性・包摂性)」をめぐる対立が激化。近年、アメリカではDEI推進を見直す動きもあり、大学や企業の多様性施策に影響を与えています。
(出典:2025年1月 https://mainichi.jp/articles/20250121/k00/00m/030/176000c)

アカデミー賞では多様性を求める新ルールが導入された一方で、州レベルではトランスジェンダーのトイレ利用制限や性的多様性教育の禁止が進み、賛否の分断は深まる一方です。
ポリコレのメリット
ポリコレを取り入れることで、多様な価値観が社会に届きやすくなります。具体的なメリットを見ていきましょう。
多様性の促進と差別偏見の解消
ポリコレの推進は、あらゆる人が能力を発揮しやすい社会につながります 。偏見や先入観による制約が減り、多様な背景を持つ人々も活躍の場が広がるでしょう。
ポリコレにより期待できる効果
- 障がい者が働きやすい環境の整備(バリアフリー、柔軟な勤務制度)
- 多文化共生の推進(外国人労働者の受入、多言語対応)
- 性的マイノリティへの配慮(同性パートナーシップ制度の導入)
- 新たな視点が生まれ、創造性や柔軟な発想が増加
多様性を受け入れる風土が根づけば、性別・国籍・障がいなどにかかわらず、誰もが尊重される社会に近づきます。意見を安心して表明できる環境が整えば、不平等の解消にもつながるでしょう。
マイノリティの社会参加が拡大
ポリコレは「公平な社会の土台」です。ポリコレの推進により、女性・障がい者・性的マイノリティといった、これまで活躍の機会が限られていた人々にもチャンスが広がるでしょう。
また、教育現場でもダイバーシティ教育が進み、多様な価値観に触れる機会が増えています。人々の視野が広がり、より柔軟な思考で物事を考えられるようになるでしょう。
ポリコレの問題点や批判
ポリコレの推進によって、思わぬ弊害や対立も生じています。頻繁に取り上げられる問題点や批判について確認していきましょう。
表現の自由との衝突
創作物やメディアにおいて、ポリコレ意識の高まりが表現の自由を制限するケースが増えています。かつて表現された描写やセリフが「不適切」とされ、修正やカットの対象になることも。「作り手の意図や作品の世界観が損なわれる」という批判の声も上がっています。
また、SNSや報道の場では、発言が炎上しやすくなり、些細な表現にも過剰な反応が寄せられる傾向に。自由な議論がしづらくなるという懸念もあり、配慮と自由のバランスは、今後も議論が必要なテーマです。
行き過ぎた配慮による多様性の抑圧
ポリコレが持つ本来の意図は「多様性の尊重」にあります。しかし、その運用や論調が極端になると、かえって多様性を損ないかねません。
※ポリコレへの批判を一律に否定してしまうと、かえって多様な意見を排除することにつながる可能性もあります。
SNSでは、ポリコレに対する疑問を口にしただけで非難され、謝罪に追い込まれる例も。こうした空気感は、多様な意見を抑圧し、建設的な対話の妨げとなり得ます。また、伝統的価値観を重んじる人々にとっては、急激な変化に戸惑いを感じることもあるでしょう。多様性を本当に尊重するには、反対意見にも耳を傾ける姿勢が欠かせません。
「うざい」「いらない」と言われる背景
日常の中で「言葉を選びすぎて息苦しい」と感じる人も増えています。ジョークや砕けた表現が避けられ、世代間で感覚のズレが生じることも少なくないでしょう。
また、企業や政治家の謝罪会見に対しては「言葉を選びすぎて具体性に欠ける」といった批判も。反発の根底にあるのは「配慮が形式的になり、本音が語られない」ことへの不満です。ポリコレの理念に共感している層からも「人間らしい失敗まで許容されないのはおかしい」との意見もあり、理想と現実のギャップが、不信感や反感につながっています。
ポリコレの本質が「多様性の尊重」であることを念頭におき、互いの価値観を認めることが大切です。とはいえ、自己の価値観を客観視するのは難しいもの。そんな時はツールを活用することがオススメです。dodaキャンパスの就活軸診断では【所要時間5分】であなたが大切にしている価値観を言語化できます。
企業での対応例(ダイバーシティ経営、広告・社内表現の配慮)
多くの企業がダイバーシティ経営の一環としてポリコレに取り組んでいます。広告や商品パッケージでは差別的表現を避け、性別や人種を意識しない形が増加。また、社内施策では、意図せず差別的表現になっていないかの視点を持ち、すべての人が活躍できる環境整備が進んでいます。
企業のポリコレに対する取り組み事例
- 女性の採用数や管理職数の増加
- 広告表現の見直し
- トイレや更衣室のジェンダーフリー化
- 社内研修でダイバーシティ教育を実施し、偏見を解消
こうした取り組みによって、企業は多様な人材を受け入れやすい組織風土を作ろうとしています。社員の満足度や創造性の向上に加え、顧客や投資家からの信頼獲得にもつながるでしょう。
ポリコレを理解して多様性を尊重する社会へ
ポリコレの理解促進は、多様性を尊重する社会づくりにつながります。ニュースやSNSで目にする言葉尻を取って過敏になるのではなく、高い視座で情報を受け止め、相手の言葉を理解しようとすることが大切です。最後に本記事を簡単にまとめます。
本記事のまとめ
- ポリコレとは、人種やジェンダーといった偏見を無くし、すべての人に不快感を与えないよう配慮された言葉遣いや思想
- 映画や職業名など、身近なところにもポリコレに配慮された事例がある
- さまざまな表現に対して、言葉尻を取って「差別的発言」と否定するのではなく、本来の目的である「思いやりの気持ち」を持って接することが大切
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