就活を攻略するには最新の情報が必要不可欠。今回はそんな就活の「これから」について、ベネッセi‐キャリアの桜井に解説してもらった。就活の流れや変化はもちろん、低学年のうちに始めておきたいことも紹介するので、しっかりチェックしておこう。
プロフィール
首都圏私立大学の教育学部を卒業後、大手人材サービス会社に入社。大手企業の採用支援等を経て、新卒採用サービスや日本初のWeb説明会サービスの立ち上げ、ASEANの大学生の日本企業就職支援等を推進。一貫して、キャリア教育や企業の採用支援に携わる。2016年にdodaキャンパスプロジェクトを立ち上げ。趣味はフットサルとJリーグ観戦。
22年卒業者の就活スケジュールを教えてください!
まず、例年の場合、基本的なスケジュールは次の表のとおりとなります。
2022年卒業予定の場合 | ||
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大学3年 | 7月 | |
8月 | インターンシップが多数開催 | |
9月 | ||
10月 | ||
11月 | ||
12月 | 冬インターンシップが開催 | |
1月 | ||
2月 | ||
3月 | 企業の広報活動解禁(エントリー・会社説明会など) | |
大学4年 | 4月 | |
5月 | ||
6月 | 採用活動解禁(筆記試験・面接など) | |
7月 | ||
8月 | ||
9月 | ||
10月 以降 |
内定 |
3月1日に広報活動が解禁され、企業説明会がスタートします。その後、6月1日に採用活動が解禁。本格的な選考が始まります。正式な内定が出るのは10月1日以降です。
ただし、このスケジュールは経団連(※)の倫理憲章を守る企業の場合であり、あくまで目安。このスケジュールで就活が進むようになって3年目ですが、年々スピード感が上がっており、4月1日時点ですでに内定を得ている学生は昨年に比べて10%近く増えています。あわせてインターンシップを選考の一部とする企業も増えており、志望する業界によっては大学3年次の夏休みから就活が始まると言ってもいいでしょう。
※日本経済団体連合会
新型コロナウイルス問題の、22卒就活への影響について教えてください!

景気の好転に伴い、ここ数年の就活は内定率の高い「売り手市場」が続いていました。売り手市場とは、就職者(学生)に有利な状況のことを指します。
ただし、今回の新型コロナウイルス問題は、世界、そして日本の経済活動に大きな打撃を与えることとなります。また、本校執筆時点(2020年4月10日)では、まだ収束のめどが立っていない状況であり、断定的なことは何も言えませんが、みなさんの就職活動においても、以下の影響が出ることが想定されています。
1)「売り手市場」からの変化
今回の新型コロナウイルス問題がもたらす経済活動への影響は甚大となると想定されています。また特定の業種においては特に顕著となることが想定され、まだ多くの企業で22卒の採用計画の発表はしていませんが、新卒採用活動そのものを見直す企業も少なくないと思われます。これまでは、比較的、就職者に有利な状況が続いていましたが、22卒はこれまでとは異なる就職環境になることを強く認識しておくことが大事です。
2)21卒採用活動遅延による、22卒採用活動の遅れ
就職活動は近年、事実上、早期化の波が来ていました。ところが、新型コロナウイルス問題により、21卒採用において、合同説明会イベントの中止や、企業説明会・面接の中止・遅延等が発生しています。もとより早期化によって、3月以前に内々定承諾を得た学生もいますが、全体として長期化する可能性があり、その分、22卒採用活動のスタートが遅れる企業が、一定数出てくることが想定されます。
なお、弊社が2020年3月末に実施した「コロナ影響を受けて22卒の採用計画の意向」の企業アンケート調査(回答約180社)でも、約3割の企業が22卒採用の後ろ倒しを検討中もしくは決定した、と答えています。
22卒採用においては、従来からの就活早期化の波と、21卒採用活動の遅延という2つの側面があるので、やや読みづらい状況となっています。みなさんにおいては、各社の採用予定や採用活動について、より注意深く情報収集することが大事となります。
3)採用活動のさらなるオンライン化
これまでも一部の企業は「Web面接」などを積極活用していましたが、対面面接が一般的でした。ただし、新型コロナウイルス問題により、現在、多くの企業がWeb説明会・面接を実施しており、その利便性等に気づくこととなりました。
また、学生への効率的なアプローチを求めて、従来のナビサイトだけではなく、学生のレジュメ情報を見て個別オファーを送る「ダイレクトリクルーティング」という手法が急拡大しています(「逆求人」とも言われています)。
22卒においては、「Web面接」「ダイレクトリクルーティング」を中心に、日本企業の採用活動は、よりオンライン化が進むことが想定されています。
22卒学生の準備としては何をしておく必要がありますか?

22卒は、これまでにない就職環境の変化があることが想定されます。みなさんにおいても、不安はあると思いますが、将来に向けて、以下を意識しておくとよいと思います。
1)今から自分の軸を整理すること
先に触れた通り、22卒の就職活動において大きな変化は想定されますが、一方で、いつの時代も変わらない重要なことは、「社会に出ていくにあたっての自分の軸の整理」です。これから、みなさんは、多くの企業と出会い、選び、選ばれる就職活動をしていくこととなります。そして、就職活動は、内定を取ることがゴールではなく、内定を取ったその企業で自分らしく活躍することが重要です。
自分がどんな人間なのか、何を大事にしているのか、将来どのような仕事や働き方をしたいのか、等のヒントは、これまでの経験の中にあります。
この軸を早めに整理しておくことで、この先、様々な変化があっても、より自分らしさから企業を選ぶことができるようになりますし、より厳選採用となっていく中で、あなたらしさを企業にちゃんと説明することができるようになります。
2)今から機会をつかむ努力をすること
もう一つ大事なことは、機会をつかむ努力を今からすることです。前述の通り、21卒採用活動の遅れや、22卒の採用活動計画の縮小等、先輩たちの就職活動の環境とは大きく異なる可能性があります。また企業の採用活動の手段も、多様化しています。
みなさんにおいては、そういった中で、例年より減ると想定される機会を自ら積極的につかむことを強く意識してください。
例えばですが、21卒の先輩の場合、従来型のナビサイト2つぐらいを使いながら、一方で自分の経験を見てオファーをくれる逆求人サイトを2つぐらい、計4つのサイトを同時活用する使い方が増えています。ナビサイトは自分が興味ある企業に応募できる仕組みですが、一方、逆求人サイトは、自分を買ってくれる企業を知ることができるため、両方を使うことが、より多くの機会につながるからです。
22卒では、機会そのものが減る可能性があるため、ぜひ自ら機会をつかみにいってほしいと思います。
逆求人サイトのdodaキャンパスなら、思いもよらぬ企業から、インターンシップや選考の特別オファーを得ることができます。これまでの経験の記入から自己分析が自然と深まる「キャリアノート」へ、できるだけ早めに情報を記入しておいてくださいね。
就活に向けて大学1年次からできることはありますか?

みなさん、人生100年時代、という言葉は聞いたことありますか。ある研究によれば、今、20歳ぐらいの方は、将来、平均寿命が104歳になるという説もあるようです。また、認知症の治療進歩によって、健康寿命は今後さらに延びるでしょうし、一方、技術革新が進む中で従来のスキルが陳腐化するスピードも早まっています。
みなさんが迎える未来の社会は、昭和・平成世代にあった「教育→労働→引退」という3ステージ型の社会ではなく、「教育・労働・学び」を柔軟に組み立てながら長い人生を生きていくマルチステージ型の社会となると言われています。
そのような中で、2つのことにぜひ取り組んでほしいと思います。
1)大学生活の中で、自分が選択した理由を言葉にして、キャリアオーナーシップを磨くこと
生き方の選択肢が複数ある時代ということは、みなさんが自分で主体的に選び続けていく必要がある時代ともいえます。そして、そんな時代に重要なことは、「自分はどう生きるのか」の問いに向き合い、主体的に選択し続けるという、個人の自律化であり、自分でキャリアを作っていくという「キャリアオーナーシップ」だと考えます。
そうはいっても、まだまだ社会に出るには時間があるし、そんな先の未来のことなんか考えられない、今を楽しみたいし、まずは就活が不安だ、と思うのが本音だと思います。
なので、まずは、就活に向けて、自分の軸の整理を少しずつしていくことを薦めたいと思います。
今、大学で学んでいることや、ゼミ・サークル・バイト等の活動の中で、自分はなぜその活動をしようと選んだのか、何を嬉しいと思うのか、そして何を学んだのか、等を言葉にしてみることから始めてみてはどうでしょうか。(いわゆる内省というものです)
特別なことをしていなくても、みんながやっていることと同じでも、自分がそれを選んだ理由や、そこから感じたことは、自分だけのもので、他人とは微妙に違っていたりするものです。そしてそれらを積み重ねると、自分の軸が見えてくると思います。
2)社会に触れて、他者との違いから自己理解を深めること
2点目としては、日々の大学生活とは違う社会に積極的に触れてみることです。高校時代を振り返れば、大学生活は一般的に自由度が増していることと思います。最近では低学年のみなさんも参加できるインターンシップや、キャリアを考えるイベント、また、社会人と話せるイベント等も増えていますし、地方にいる方でもオンラインイベントを活用すれば機会を得ることができると思います。
自分を知るとは、他者との違いを知ること、とも言います。こういった機会は、最初は勇気がいるかもしれませんが、将来の仕事を考えるうえで参考にもなりますし、自分と異なる考えや価値観、未来の生活に触れること、そしてその時の自分の感情を振り返ることで、自分はこの先どう生きたいのか、のヒントを得ることができると思います。
dodaキャンパスの活用法としては、まず、日々の経験をキャリアノートに記載してもらうこと。そうすれば、低学年向けのインターンシップ等、イベントの特別オファーが届くことがあります。イベントページでは「dodaキャンパスゼミ」という、オンラインイベントを実施していることもありますので、ぜひチェックしてもらえればと思います。
自分の軸を持った就職につながる、充実した大学生活を。
最後になりますが、大学生活は、長いようであっという間です。ぜひ1日1日を大事に、自分らしく大学生活を送って、自分の軸を持って就職活動にのぞんでもらえればと思います。応援しています。
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